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そして次の日から笠野田は崇の弟子として朝から帰宅まで徹底的に彼に着き、監察しているのだが、結果として崇を困らせている。
「ハニー先輩、モリ先輩。あれ、笠野田君。どーも」
「…昨日の…」
「そうそう。モリ先輩と同じホスト部の柊牡丹。君がね、本気ならば家の美容整形を紹介してあげる。格安にしてあげるし当然痛くないよ?」
「せ、整形!?」
「もう、りんちゃんそれはひどいよぉ〜分かってるくせにぃ〜」
「冗談です。ま、あくまでそういう選択肢もあるって事。それでいいのなら、ね?」
そう言いながら竜胆は不敵な笑みを浮かべた。さて、君はどう出る?
「い、いや。流石に整形はちょっと…やっぱこの顔に生まれてきちまったからにはずっと付き合っていかなきゃいけないと決めてるんで…」
その言葉に竜胆はニッと微笑んでから彼の頭を撫でた。
「君は随分と真っ直ぐに育ったみたいだ。俺は嫌いじゃないよ、君みたいなタイプ。だからさ、まず緊張しいを治せる様に努力してみよーよ」
それじゃ授業があるからと竜胆は手をひらひらさせてから自分の教室へ向かって歩き出した。
「笠野田君昼間ぶり〜」
第三音楽室にて笠野田は相変わらず崇の側から離れない。ここまで来ると初めて見た物を親だと着いて来るひよこの様に見える。
「うっス」
「うっスって何?」
「挨拶ッス」
「ほう。そんな挨拶が日本では流行ってるんだ?知らなかった。うっス〜」
使い方を間違った竜胆は笠野田に手を振ってからホスト部営業の準備を始めた。最近牡丹の君の女装を見ていないわ…なんて答えに竜胆は笑顔で“そろそろちゃんとした男になろうかなと思って”そう言われればまさか好きな方が…!?なんてお嬢様達の妄想も広がる。当然女の子達に化粧をする事は忘れていないし、売り込む事も。あくまで趣味が伝わっていれば良いのだ。そんな竜胆よりも大変なのは崇だった。崇を指名したお客様が笠野田を見て逃げ出してしまうのだ。それを遠巻きから見て呟く。
「うーん、こりゃ先行き暗いネ。つか営業妨害?困っちゃうよね〜」
そういうのは光だ。
「殿ーなんとかしなくていいワケ?」
「ダメだ。放っておけ。彼はモリ先輩のお弟子さんだ。俺達が口をはさんでいい事じゃない」
そう環が言うが崇からの心の声(タスケテ)を聞けば環は輝きだす。
「イイでしょう!モリ先輩がそこまで仰るなら!この須王環が及ばずながら一肌脱がせていただきましょう!」
――ホントは手を出したくて仕方なかったのか…と言う環の思考は皆にバレているのでした。
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