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『…私、君達の親友になりたいわ』
恥ずかしげもなく断言した物言い。環に本性を見せてしまってから“ホスト部”と言うものを作ろうと言い出した空白の四ヶ月の話。
鳳鏡夜の中学生日記B
「…なぁなぁ、柊君はどうしていつも一人なのだ?」
「…俺が知るか。一人が好きなんじゃないか」
うーんと首を傾けた環は柊牡丹を見て小さく呟いた。
「人付き合いが苦手なだけかもしれないな!」
いや、それはないだろう。そろそろ慣れても良い頃だ。それとも柊牡丹を演じているのか彼の様にわざと一人でいるか、又はそういうタイプなのか。
「やぁ!柊君!おはよう!」
環は柊牡丹へと近付いた。そしてその大きな挨拶はクラス中に響き渡る。それにはクラスメイトが驚いたものだ。今や用が無ければ誰も話しかけない柊牡丹に話しかけたのだから。
「…おはよう」
「うむ、それでな、もしかして君は一人っ子なのか?」
はぁ?その突拍子も無い言葉に俺は思わず眉間に皺を寄せた。
「…いや、三人兄弟」
「そうか…もしかして人付き合いが苦手なのは一人っ子のせいかと思ったのだが…人間嫌いなのか?」
環の突拍子も無い言葉第二弾。
「いや、そんな事はないよ」
柊牡丹は小さく笑った。それに対してクラスでは二度目の驚き。ここ何年も笑顔を見せていなかった柊牡丹が笑った?そういう意味でだ。
「なぁ、鏡夜!柊君は人間嫌いではないらしいぞ!」
そんなの聞こえていた。そもそも今柊牡丹とはどう話をして良いのか分からない。あれから話す事なく過ごしてきたと言うのに今更どう話せと?
「なぁ、鏡夜。柊君も俺らの仲間に入れてやろう!美形三人揃えば無敵だろう?」
「何と戦ってたんだ、俺らは」
こんな会話をすれば次に驚くのは柊牡丹の方だった。目を見開いて驚いた後優しく微笑んだ。
「良かったね、鳳君。友達出来たんだ」
「俺と鏡夜は親友になったのだ」
「へぇ。そりゃすごい。よくこのカタブツを懐柔出来たね」
カタブツとはどういう事だ…。柊牡丹を睨みつけると何か問題でも?という様に笑われた。
「…柊君と鏡夜は友人なのか?」
「「いや」」
二人の声が見事揃ってしまった。そんなに意気投合してればもう友人じゃないか、環はそう言いながら笑っていた。
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