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「光。ここの電飾数足りないわよ。確認してみて」

環の機嫌の悪さには理由があった。

「ハルヒが春日姫に気に入られたのがそんなに気にくわんのかねぇ」

「彼女の病気は今に始まった事じゃないだろう?」

「病気?」

「「いわゆる“男とっかえひっかえ病”ネ」」

ホスト部の常連客は決めた相手を永久指名するものだったが、彼女だけは別だった。彼女は定期的に相手を変える傾向があり、ハルヒ以外のメンバーは既に2回は当たっていた。

「この前まではタマちゃんだったんだよねー」

「ああ…自分のお客をとられたから…」

「心が狭いわね」

「違う!そんな事じゃないッ!」

復活した環は語り始める。ここ最近思っていた事だった。

「もう我慢の限界だ、ハルヒ!ちゃんと女の格好をしろ!」

今更な気もするが。竜胆は環の熱弁をコーヒー片手に聞き流していた。

「女でありながら何が悲しくて女にモテモテにならねばいかんのだ!はっきりいっておまえが女と知っているのは部員だけだぞ!?」

それもそうだ。誰にも言っていないのだから。環は乙女達が不毛過ぎると頭を抱えるが、私の場合はどうなの?竜胆は首を傾げた。桜蘭のシステムは選択制。体育は選択制で取らなければ問題無く、出席番号も男女混合なので特に心配する必要も無い。

「そもそも竜胆先輩だってそうじゃないですか、何で自分だけ?」

「私はねぇ深い事情があるの。そう、それはとても深いわ。山よりも高く海よりも深い事情が――」

「無いんですね」

ハルヒの即答に竜胆は驚く事なく小さく笑って見せる。

「まぁ、失礼ねッ。ちゃんと深い事情があるもーん。ねぇ、そこで落ち込んでいる環ー?」

お父さんは、お父さんは…と言いながら私物箱を探す環が取り出したものはハルヒの生徒手帳にも使われていた写真だった。

「この頃のおまえが見たいんだよォ―――!」

結局自分の為じゃないか。相変わらずと言うかなんと言うか。それほどまで環はハルヒちゃんの事が気に入っているのね。竜胆はうんうんと頷いた。ハルヒが竜胆の事で未だに疑問を抱いている。それはまだ明かされる事はない。


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