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「なんだハルヒか」

遅れてきたハルヒは南国仕様になっている部室を見て打ちひしがれる。カレンダーを確認する程だ。

「暦によると確か今は12月中旬かと…」

「冷気を恐れコタツに縮こまるなど庶民の感覚(ナンセンス)!」

誰よりもコタツを愛する人間が何を言っている。竜胆は環の言葉に呆れる。思い出すのは鏡夜の家で誰よりも早くコタツに入っていた環の姿だ。

「冬こそ凍える仔猫達を暖かな南国オーラで迎え入れる…まさに紳士の振る舞いだろう…?」

これが鏡夜の策略だと環は気付いてないんだろうな。竜胆は横目で鏡夜を見ると鏡夜は何か?と偽物の爽やかな笑顔だった。

「そして12月といえば我々が最も輝く大イベントが待っている!クリスマスパーティーだよ、ハルヒ!」

そう、只今南国仕様だが、12月と言えば一大イベントのクリスマスがある。ホスト部がそれに便乗しない手はない。普段よりも特別な日になる、そんな期待を裏切る事はホスト部にはならない事だった。

「牡丹の君は踊り子の衣装ですのね?」

「環様が王ですから、てっきり姫か妃の衣装なのかと思っていましたわ」

「あら、お嬢様方。姫か妃は私じゃなくてあなた達。環もそう思っての事よ?」

さり気無く環を持ち上げておこう、竜胆は笑顔で嘘を吐く。環がハルヒに姫の衣装を着せたかったから、なんて事は口が裂けても言えない。竜胆は目の前にあるマンゴーをフォークで刺して女の子の口元へ持っていく。

「はい、あーん」

「は、い、頂きますわ…!」

そんな竜胆の横を通り過ぎて一人の女子がハルヒに近付いた。そして言うのだ。

「2年B組春日崎奏子よ。噂以上にかわいいのね。決めたわ。次はあなたをお気に入りにしてさしあげてよ?」

それを聞いて衝撃を受けるのは環一人だけだった。

「納得いかん…!」

環は庶民ラーメンをすすりながら呟いた。こっちはクリスマスパーティーのプランの最終調整で忙しいと言うのに。


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