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「「蘭花パパこそナニそのふざけたカッコでついてきてんのサ」」
蘭花が来ているTシャツは大きく父の一文字の柄。なんとも斬新なデザイン。
「これは昔父の日にハルヒからもらった父Tよ。バカにすんな」
マジで、ちょっといいな!いらないけど。ハルヒのセンスはどうも不思議だ。
「ハルヒを連れてったのがロベリアのヅカ部と聞いちゃ着替えてる暇すらないわヨ。いーい?ヅカ部っていうのはね一度ハマったら破産しても抜けたくなくなる魔性の花の蜜なのよ…!」
それにハルヒがハマると思っているのだろうか?どう考えてもハルヒはそういうタイプではない。
「ハルヒが何かにハマったりするタイプとは思えませんが…」
「…そうね…琴子もクールで何事にも動じない女性だったわ」
「「琴子?」」
「ハルヒの亡きお母様だな」
「結婚してしばらくは幸せのあまり気付かなかったのだけど…ある日掃除してて見つけちゃったのヨ。琴子の大量のヅカ部コレクションを…」
その言葉に衝撃を受ける。琴子さんの血を引くハルヒにもその可能性は充分にあるという事だ。
「大変じゃん!ハルヒがハルヒ母の血を濃くひいてるとしたら!」
「破産だよ!」
「どうしよう!ハルちゃん元々財産無いのに」
「大丈夫だ!ハルヒには“かわいい”という財産がある!」
が、尚更それはやばい。
「鏡夜!至急ロベリアの制服を取り寄せろ!ここは変装して潜入する他…」
「却下!その道を追求してるわけでもない男の女装はフツーキモいんだよ。本職バカにしてんかぁ?いーい?ハルヒを奪還したければワタシに従うのヨ。ひとつ策があるワ」
蘭花は不敵に微笑んだ。居なくなっていた鏡夜を他所になんとか潜入成功したロベリア。ヅカ部練習を窓の外から見ていた。皆お揃いのTシャツを身に纏って。
「ね〜ハルちゃんいたぁ?」
「どうやら悲劇のヒロイン役を演じているようですが…」
そこからは中の様子が見えて、声も聞こえてきた。そして中には台本を手にしながら何やら一生懸命に台詞を言うハルヒだが、
「「「「超棒読みだ…」」」」」
なんとなく残念な気がしてならない。
「「こりゃ本番はどんだけおサムイ事に…」」
「新入り!勝手に列を離れない!」
そこには同じTシャツを着た女の子達がこちらを睨んでいた。この光景は桜蘭では絶対に見られない程冷たい視線達だった。
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