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「わーい!勝った!ケーキケーキ!」

崇の予想も虚しく、崇はその場に手と膝を着き落ち込む。

「モリ先輩どんまい!」

「そうッスよ!崇兄は立派だったです!」

落ち込む崇を他所に光邦は悔しがる靖睦に近寄った。

「チカちゃん。最初の飛び蹴りのかわしと中盤の連係技のとこはちょっと僕も危なかったよ。チカちゃん腕あげたね〜」

光邦にかけられた言葉で靖睦は顔を明るくさせたが周りの視線を見てやはり悪態を吐いた。

「うるさい!黙れ!えらソーに!こっちはちょっと油断しただけでホントは…」

「負け惜しみを言うな!男ならいさぎよく負けを認めんかぁ!」

「いたい!いたいッ!バカ悟…もっもういい…悟なんか嫌いだも…」

靖睦が大粒の涙を流しながら悟に訴える。それに動揺する悟。そして気になるのはやっぱり周りの視線。

「おっ。覚えとけよ光邦!次は絶対勝って宇宙から墜落させてやるからな!」

「チカ君もしや…根は限りなくハニー先輩に近いの性質なのでは…」

こうして新たな疑惑を残しつつもホスト部の日常は帰ってきたのであった。

「…いやぁ、兄弟っていうのも良いですね〜ハニー先輩」

「…そうですねぇ。りんちゃん〜ぼたちゃんは元気〜?」

「…連絡が来ないというのは元気な証拠ってね」

「そっかぁ〜」

光邦と竜胆は縁側に座りながら甘い抹茶を飲みながら和菓子を摘んでいた。中庭では崇が素振り中。太陽が眩しいそこで竜胆は目を細めた。

「あれ、柊先輩。いらしてたんですか」

「そうです〜お邪魔してま〜す〜ハニー先輩。それじゃ自分はこれで」

よいしょと立ち上がり、光邦に手を振った後竜胆は靖睦のもとへと近寄った。そして小声で呟くのだ。

「ハニー先輩を大事にしてあげてね」

「…は?」

「…人間いつどうなるか分からないのだから」

どういう意味ですか?そう訊こうとしたが竜胆は既に歩き出し角を曲がって行った。

「今のって…」

「…そうだねぇ〜りんちゃんは誰かがいなくなる悲しさを知ってるのかもねぇ…」




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