69 (3 / 3)



あまりの剣幕に慌てて靖睦を宥めた。しかも靖睦の眼鏡は度入りレンズで光邦がぼやけて見える様に。そんな危険なマネはしてはいけません。

「その話いっつも言ってるけどさー別に気にする程の事じゃなくないか?靖睦は少し神経質過ぎるぞ。ホールケーキくらいその気になれば俺だって2個くらい…そんな甘くないし」

「黙れ味オンチ!」

靖睦のストレスは光邦だけではなかった。悟があまりにも鈍いせいもある事を今知った。竜胆は悟の言葉に大きく頷いた。

「…それでも昔は仲が良かったんです。兄も人より少し甘味好き、可愛いもの好きくらいで…だけど一時期兄がそれらを全て絶った時誰かに余計な事を吹き込まれたらしいんですよね。“ありのままの自分を認めるのも強さ”とか」

それを言ったのは皆よく知る環だった。

「それからは一気にタガが外れて今みたいな宇宙人に…」

靖睦の落ち込みに環は顔を青くした。靖睦の苦労は元を辿れば環のせいとなってしまった。

「そういえば双子がこのケースには解決策がないとかどうとか…」

光馨、そして鏡夜の言葉に環はビクリとして涙を零した。

「…解決策はある」

そこに居たのは崇を目を覚ました光邦。

「チカちゃん聞こえたよ。…今までごめんね。でもここで僕がチカちゃんに気を遣ってチカちゃんの希望通りに生活してもきっとお互い気まずいよね。僕はタマちゃんに感謝してるし簡単に自分を変えようとは思わない…だから表に出ろよ、靖睦。男らしく埴之塚流でケリをつけよう」

男らしく話す光邦。そして両者は決闘となる。殴り合いの末に出て来た答えは正しいのか、竜胆には分からない。それが通用するのはきっと男兄弟だからなのだろう。男とか女とかそういうのは関係無くなれば良いのに。男尊女卑は何だかんだ言って未だ健在。

「竜胆行くぞ」

そう言って私の頭を一回叩き、背を向けて歩き出した彼も私を女友達としか見てくれないのだろう。




[prev] [next]
[bkm] [TOP]
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -