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そして埴之塚兄弟を仲直りさせ隊の一同は中等部空手部道場へと来ていた。靖睦を見るとどうも彼はコンプレックスを抱いているように見える。全てが光邦と比べられるのが嫌で仕方ない様なそんな素振り。
「視力は良いらしーのにあんな眼鏡してんのも兄に似た顔を隠す為ってヤツ?」
「なーんだありきたりでつまんないの」
「別の遊びさがそ」
こうして仲直りさせ隊を結成させた光と馨はそれを放棄した。ただ単に靖睦の秘密を面白おかしく暴きたかっただけらしい。それに呆れて竜胆でさえも溜め息を吐かずを得ない。
「例えばさーチカはハニー先輩が宇宙人に思えてキモイとかさー」
「チカは実はモリ先輩に憧れてて寵愛を一身に受けてる(?)ハニー先輩に嫉妬してるとかさー」
ちなみに後者だった場合は“モリ先輩は皆に平等に優しいから安心しな”とあからさまな合成写真を見せるつもりだったらしい。
「前者だった場合は?」
「「解決法はナイね」」
適当過ぎる。
「…おまえらという奴は…ハニー先輩やチカの気持ちを何だと思ってる!さすがのおとーさんも堪忍袋の…」
「タマちゃん、いいよいいよ」
そこには困った様に微笑む光邦と崇の姿。
「あのね…僕いいんだ。チカちゃんに嫌われてても僕はただチカちゃんが元気にすくすく育ってくれればそれで…」
そういう光邦はどこか遠い目をしていた。それはとても珍しい。
「あんたよりは充分すくすく育ってるヨ」
「現実を見つめて自分の心配した方がいいよ」
「コラ、光馨。言い過ぎだぞ。ハニー先輩が昇天しちゃう」
竜胆の視線が移った方向へ光と馨が光邦を見るとふわふわとどこかへ言ってしまいそうな虚ろな目をしていた。慌てて皆で現実に引き戻そうと必死に動いた。が、それが靖睦に見つかってしまった。
「うるさいんですけど」
そして靖睦は虚ろな目をした光邦を見つけるとチャンスとばかりに攻撃を仕掛ける。
「光邦…学校では近づくなって…とりあえず覚悟!」
それは家訓なので今更どうしようも出来ないらしい。本能で動く様に靖睦は光邦に攻撃をしかけるが、その後ろから再び悟の声が響く。
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