67 (1 / 3)
「あら、ハルヒちゃん早いね。部室一番乗り〜もしかしてはりきってる?」
竜胆はニヤニヤしながらハルヒに近付いた。イヤだなと思っていた事をずばり当てられてしまいハルヒは眉間に皺を寄せた。
「でもごめんなさい、自分鍵は持ってないか――」
「すいません、こちらの部の方ですか?3年の埴之塚光邦を呼んで頂きたいのですが」
振り返るとそこに居たのは中等部の生徒。竜胆は彼の顔を見て顔を明るくさせた。
「あら、お久しぶり――」
「あれえ、チカちゃん!?」
竜胆の言葉を遮って現れたのは光邦と崇。その瞬間ゴングが鳴ったのだ。突然入る蹴り。それを軽々と避ける光邦。それは埴之塚家の家訓だった。
「ちょっ、ちょっと待って、何事…」
初めて見るハルヒは驚きを隠せないでいる。
「「チカの先制攻撃を余裕でかわしました埴之塚光邦!ひらりと華麗に舞う様は現代の牛若丸か!と、体勢を立て直す暇も与えずチカが再び攻撃!ハニー先輩よけたぁ!そのまま足払いへ!」」
突然現れた光と馨はダブルサウンドで実況を開始した。巻き込まれない様にハルヒは竜胆に手を引かれて離れた所でそれを見る。
「「両者一歩もひかず激しく技をくりだし合います!おっとここでチカが武器を取り出した!」」
チカの手には折りたたみ式の棍棒。
「ちょっと!あんなの反則なんじゃ…」
「おーやってるなー久々じゃないか?」
「せめて場所を選んでほしかったな」
後ろからやってきた環と鏡夜はこの状況を暢気に言う。二人の戦闘は今に始まった事ではなかったのだ。
「「ハニー先輩飛ばされたァ!チカの初白星なるか!?」」
「やった…」
「…いや、光邦の勝ちだ」
崇がそう言うと靖睦の足元には手裏剣が。どうやら床に縫い止められている。彼は動く事が出来ない。
「「ハニー先輩の一瞬のスキをついた見事な手裏剣さばき!チカ一歩も動けず!」
そして彼は項垂れる様に光邦に頭を下げたのだ。
「…参りました」
「うむ!精進せよ」
飛ばされた光邦の所へ近寄ると光邦は全くの無傷。全て計算の上だったのだ。
[
prev] [
next]
[
bkm] [
TOP]