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「何、環ったら私の事女だと意識してたの?しばらく女だって気付かなかったくせに?」
「そ、そんな事はないぞ!」
「それか未だに男だと誤解したままか」
その言葉に竜胆は懐かしいねぇと小さく笑った。そういえば彼はしばらく自分が女だという事に気付かなかった。ハルヒのパターンと同じだ。
「そんなワケあるかー!だが、俺は竜胆の事は親友だと思っているよ?須王環、女性初の親友の座をくれてあげよう。だが、男の親友は鏡夜だ。それは謝る」
意味が分からないんだが、とりあえず言える事と言えば、
「「いらない」」
鏡夜と竜胆の声がピタリと揃った。まるでどこかの双子みたいだ。
「お、お前達っ…そ、そんなに俺をいじめて楽しいのか!?」
ここでも三人で集まって笑い合う。部設立以前からの付き合い。同じ学年、同じクラス。この三人の縁は不思議なものだった。だが、今では休み時間も三人で喋る事がほとんどである。
「りんちゃーん!おやつ食べよ〜今日はね〜南国のフルーツをいっぱい使ったフルーツタルトだよ☆」
光邦の持ってきたタルトに竜胆は目を輝かせた。
「わぁ、食べます食べます!」
光邦と同じようにタルトを口に頬張る竜胆。その量こそ少ないが甘い物だけで生活したい、と豪語していた。タルトと同じようにセットされたダージリンを一口飲んだ。
「甘い物食べるのって幸せですよね〜」
「だよね〜ねぇ、りんちゃん、次の日曜日ね美味しいケーキ屋さんに行かない?崇が聞いたんだって〜」
「勿論行きます!」
ひそかに美味しいお菓子同盟という、美味しいお菓子を見つけ、美味しく頂く同盟が組まれている事はこの場にいる三人しか知らない。
「あ、モリ先輩。実は今朝庭に子猫が来て保護したのですが、誰か飼ってくれる方、心当たりはありませんか?ミックスだと思うんですけど…毛はアメショに近いです」
「探しておく」
動物の事はモリ先輩に聞くのが一番だ。モリ先輩の知り合いならば悪い様に扱う人はいないし、飼われた猫もきっと幸せになれるはず。
「おーい!そろそろお客様が来る時間だぞー!」
定位置について本日の部活動が始まる。そして私達は楽しい時間を過ごす。
「「「いらっしゃいませ」」」
ここは財ある者は暇を持ち余した美麗男子6名と謎の男装少女1名、借金を負うハメとなった庶民特待生藤岡ハルヒ(女)がおりなす金持ち遊戯なのでありました。
終
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