66 (2 / 2)
『――それまではわたしが光とかおるのお姉ちゃんになってあげるから。さびしくなったらだきしめてあげるから』
そう言ったのはいつだっけ。そうそう、僕らが竜胆ねぇの前で泣いた時。ちゃんと前に大事な言葉を言われたのを僕は覚えている。光も覚えてるかな?そして今気になったのは竜胆ねぇが寂しくなったら誰が抱きしめてくれるんだろうって事。牡丹にぃは海外だ。上の兄も一緒に居ない。両親に抱きしめてもらう歳でもない。仕事で忙しいだろうし。そもそも柊三兄弟は一緒に住んでた時期なんてほとんど無いだろう。家族で一緒ってあまりないんだろうな。
「馨?どうかした?」
そんな声を聞いた瞬間僕は竜胆ねぇに抱きついた。
「「馨?」」
光と竜胆ねぇの声が揃った。多分竜胆ねぇは寂しくても泣きつく相手がいない。
「どうしたの、馨?温かいケド」
「馨ばっかずるー!僕もー!」
「ふふ、二人してどうしたわけ?昔から甘えん坊だなぁ」
竜胆ねぇが寂しくなったらまた抱きしめてあげる。だから大事な人が見つかるまでは僕等を竜胆ねぇの弟で居させて下さい。
終
[
prev] [
next]
[
bkm] [
TOP]