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「竜胆ねぇ!これ巻いてよ」

「えぇ。じゃあ、馨。私の髪纏め上げてよ」

「えぇーじゃあ、光。僕にそれ巻いて」

三人丸まってお互いの髪を弄っていく。その光景は奇妙なものだが、三人は特に気にする様子もない。小さい頃からよく固まっていたずら談議をしたものだ。ただその時と違う点が一つ。

「「ねぇ、牡丹にぃ元気?」」

「元気よ」

「今度遊びに来てって」

「言っておいてよ」

そしたら私はあっちに行かなきゃいけない。と竜胆は小さく笑った。本日バリ風の民族衣装の為、装飾が重い。竜胆のメイクも普段よりもバリ仕立てになっていた。

「「竜胆ねぇ化粧濃い」」

「たまにはこういうのもありじゃない?」

「「なし」」

あら、気に入らなかったのね、残念。女装男子を演じている竜胆はここで女性物を着ても何も違和感は無い。ハルヒに用意された衣装も女物で、ハルヒの性格からして着るはずがないだろう。しかも、自ら女とバラしているようなものだ。用意した環は何を考えているのだか未だによく分からない。南国チックにされた室内は12月とは思えない程暖かくなっていた。季節錯誤も良い所だが、こういうのは嫌いじゃない。

「それにしてもね、環。どうして私踊り子なのよ。普通姫でしょ、姫」

「む、姫はハルヒと決まっている!」

む、竜胆は環の頬に両手を伸ばしてそのまま摘んだ。折角のイケメンも台無しだ。

「にゃにするんにゃ」

「あら、贔屓かしら?あーあーやだやだ。ねぇ、鏡夜。私の扱いおかしくない?」

近くを通りかかった鏡夜に声をかける。

「さぁな。部設立以前から一緒だからな。そろそろ女という意識はされなくなったんじゃないのか?」


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