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「「どーすんのさ、長老超お怒りじゃん」」

「全責任はおマエラにあるはずだがなァ!?」

「「だって竜胆ねぇが食べ物はやめろって」」

「はぁ?自分のせい?違うでしょ。スープじゃない?ほら、前回はコンソメだったはずだし」

「やはりコンソメではなくポタージュだったのが敗因か?」

「熱いし服もドロドロですからね」

本人達的にはヒソヒソと喋っているつもりだったが、それは全て教頭に筒抜けだった。

「君タチ…聞いとるのかね…?」

そして教頭は語り始めた。問題はコンソメでもポタージュでもなかったらしい。とりあえず食べ物を粗末にした事。やっぱり私のせいではないわ、むしろ正しい事を言ったじゃん。竜胆は心の中で呟いた。

「裕福に育ってきた君達にはわからんかもしれんが…そう…あれは戦後まもない頃…学問の道を志しつつもその日食う物にも困っていた時代だ…。私は君達とは違い貧しい家の出身でね…ある日登山中に腹をへらして生き倒れてしまったのだよ」

なぜそんな状況で登山を…無謀過ぎる。危険過ぎる。山を舐めすぎているに違いない。竜胆は教頭の言葉に失礼ながら呆れてしまった。もう限界だと思ったその時――…こんな所でくじけてはなりません。さあ…家にいらしてあたたかいスープを召し上がれ。と手を差し伸べてくれた女神。

「山小屋の女神が食べさせてくれたスープとあたたかい食事がどんなものであったか今では忘れてしまったが…この世のものとは思えぬ美味さに私は体中からエネルギーがわいてくるのを感じた」

それから教職についた後、仕事の傍らあらゆるスープの研究をして、本まで執筆していたとか。

「しかしどれだけ研究しても再びあの味に巡り合う事はなかった…いや…二度と出会う事はないのだろう」

それに感動したのはホスト部面々。

「おまかせ下さい教頭先生!先生の貴重なお話決して無駄には致しません!必ずやご期待に応え思い出のスープを再現して差し上げましょう!」

環は純粋に涙を零しているのだが、光と馨は暇潰しの一環だった。

「皆の衆も覚悟はいいな!?それではいざ出陣!幻のスープを求めて――…!」

教頭の敗因は環に涙を誘う様な話をしてしまった事だろう。そしてこれは熱い男達の挑戦でもあったのです。




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