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――ホスト部スペシャルパレードなり!
音楽と共に崇が綱を引く馬車に乗りこみ外周へと手を振る姿は一国の王族そのもの。パレードの後は二台の馬車で校内を巡り中央棟までのエスコート付き。
「ほらお母様素敵でしょう!?」
「どうかしら…いくら綺麗な見かけでもそれを鼻にかけて女性にもてはやされようなんて…」
「美しいものを愛でたいと思うのは罪でしょうか、マダム。そうですね…確かに許しては頂けないかもしれません。何故なら我々の活動の真意は女性に愛でられたい為ではなく…美しい花とひと時を過ごしたいという僕らの我儘でしかないのですから…」
――アダルト作戦その1 マダムのプライドに差し支えない程度の知性をもって接するべし
どのへんが知性!?なんてハルヒのツッコミは誰の耳も通らない。
――アダルト作戦その2 マダムにタメ語厳禁。兄弟愛設定は控えめに
「ではお二人共華道の心得が?」
「はい…でも祖母は僕らの人間的未熟さが作品に表れているといいます」
「うちは父も母も多忙で僕らはほとんど二人きりで過ごしてきましたから…」
「「寂しさから来る精神のアンバランスさが滲み出るんだろうって…」」
――未完成な少年の儚さでマダムの庇護欲を煽るべし
どの口がモノを言うか!なんてハルヒの言葉も今は誰も拾わない。
「貴方は確か…女装が趣味と聞いたのだけど?」
「…僕には双子の妹がいるんです。双子の妹は幼い頃から体が弱くてまともに学校へ通えなかった。その代わりに僕が、彼女の作れなかった友達になってあげたんです。お人形遊びもままごとも相手は全部僕。それでも彼女はとても喜んでくれました。…僕はそれが忘れられないだけ、なんです。今は離れている大事な僕の片割れの事を忘れない為に」
そんな設定があったの!?そんなハルヒの言葉は当然涙を浮かべる竜胆には届かない。ハルヒはこの状況を恥ずかしくも思い肩を落とした。
「ハルヒ、姿勢が悪いぞ。もっとギャラリーにアピールを」
「…鏡夜先輩は恥ずかしくないんですか、前から思っていたんですけどこういうの好きなタイプには見えな…」
「多くの利益の為には羞恥心を捨て去るくらい容易い事だよ。そんなに恥ずかしいならこう思ってみてはどうだ?あれらは世にはびこる只の有象無象であると」
――アダルト作戦その3 心の中で“世界の中心は自分”と思う分には自由
どこまで黒ければ気がすむのこの人は!そんなハルヒの思いも直接鏡夜に言えるはずも無く心の中に積もりに積もり酔いを引き起こさせる。
「がんばってハルちゃん!せめていちご畑とかケーキの山とか思うとよいよ!」
「おにぎり山…」
結局は食べ物!?
「いいんです…これ以上皆さんの人間性を疑いたくなるようなフォローは聞きたくありません…うっ…」
「ハルヒくん、大丈夫?ハルヒくんはこういうのお好きじゃなさそうですものね…ごめんなさい、私達ばかり浮かれてしまって…」
「あ…いえ…そんな…こういう(バカげた)行為を好むのは部の人達ばかりと思っていたので…あなたに喜んで頂けたなら(ほんの少しは)救われます」
言っている事がひどい。それに()内の文字まで浮かんでしまうのはハルヒとだいぶ親しくなったからだろうか。竜胆はハルヒの言葉に苦笑いをした。
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