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二人で皆を探しこの時間ならば中庭で馬車のチェックでもしているだろうからと中庭に向かって歩いていると皆はすぐに見つかった。
「馬車の方はどうなってる?」
「うむ、中庭だ。今最終チェックに行くところだよ」
全く事情の知らないハルヒは馬車と言う単語に驚いた。それを訊こうとした時環の目に止まる祖母の姿。
「お祖母様!来て下さったんですか」
環が嬉しそうに駆け寄って行く。それを皆は遠くから見ていた。
「へぇー環先輩の…」
「僕キライ。僕あの人嫌いだもん」
環の事情を知っている者からすれば環の祖母は受け入れがたい人間だった。現に笑顔を浮かべる環の手を取ろうともせずに環の祖母は通り過ぎて言うのだ。
「触らないでちょうだい。汚らわしい」
「スミマセン。さっきまで夜店を出していたもので」
「…洗っても同じ事でしょうよ。子を捨てて行方をくらますような恥知らずの…妾の子が」
それだけ言うと環の祖母は付き人を引き連れて歩いて行った。誰がこの状況を作り出したのか、それを考えれば祖母の言葉はあまりにも冷たすぎた。落ち込むように柱に額を寄せる環にハルヒが近付いた。
「お祖母様に怒られたァ〜〜!」
そう言う環は普段通りの環だった。
「俺とした事がなんとうかつな!お祖母様は恐らくたこ焼きの匂いがお嫌いなのだ!庶民の香りに不慣れな方でいらっしゃるから」
ハルヒとしては昼ドラのような重々しい事情だと思っていた為に環の言動には驚きを隠せない。
「俺が美しいからか!?美しさが罪なのか!?」
「そんな事より環。そろそろ時間なんだが…」
「そうだった!馬車のチェックは!」
ようやく我に返った環は的確に確認していく。
「「殿が錯乱しとる間にとっとと完了しました!」」
「中央棟サロンのセッティングは!」
「万事おっけーです!」
「よし!ではいいか皆の衆!本日はいつもながらのサービス精神にアダルトオプションもお忘れなく!作戦コードは“キラー・ザ・マダム”!まずはいざ行かん!これぞ学祭特別企画…」
我等がキングはこういう人なのです。どんな逆境にあっても決して諦めない精神。決して己の運命を恨んではいない。諦める事知らないポジティブシンキングは色んな人を巻き込み導いてくれるのです。そして彼が運転する馬車は皆を幸せへと導いてくれる。
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