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環が落ちている生徒手帳を拾い上げ固まる。
「…ハルヒ」
「はい?」
「おまえ、女なのか」
「はい。生物学上は一応」
環は驚いて言葉も出なかったらしい。今まで気付いていなかったのか、周りは環の鈍感さに呆れるばかりだ。
「やっと気付いたよ、殿」
「本能ではわかってたみたいなんだけどねー」
「………」
「僕最初から気づいてたよー」
「あそこまで可愛らしい男が居てたまるかって話。どうして前例があるのに気付かないかな」
「かなり面白い展開だ」
最初、または途中で気付いた面々はそれを遠巻きに見て笑う。これはまた面白い子が入ってきた、皆そういう期待でいっぱいだった。
「さて、ハルヒちゃん。お姉さんとお話しようか」
「はい?」
「こんにちは、ハルヒちゃん。私柊竜胆です」
「え?牡丹って…」
「あら、それは芸名みたいなものよー!ごめんね、嘘ついて。私、ハルヒちゃんの言った通り正真正銘の女なの。これからよろしくね?」
ハルヒを加え、これがホスト部の完成形だった。
「…え?だって生徒手帳には男って…」
「…あら、今日は天気が良いわね〜」
竜胆は笑いながら窓から見える空を見た。これから楽しくなりそう、それは皆のお陰で。だったら私は皆を守るよ。皆が思い思い自分の道を歩めますように。
終
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