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「猛が鏡夜君のいるホスト部と対決したがっているのは知っていました。でも私はそんな事やめてほしかった。どうにかしてホスト部に棄権してもらえないかと思ったんです。だって、これ以上猛が鏡夜君に負けて無駄なまでにうちひしがれる様を見るのがしのびなくて…」

その言葉に九瀬だけではなく皆も固まった。先ほどから突きつけられる事実に着いていけないのだ。

「…はなから俺が負けると…?」

「実際負けたでしょう?有利な舞台まで作ったのにね?過去に26回ほど鏡夜君に挑戦しては惨敗しているんだし、そろそろ諦めたらどうかしら」

おまけにその間はデートも忘れるみたいだし?可愛い顔をして相当ひどい事を言っている満山。それを傍観していたホスト部は何故だか九瀬がかわいそうに見えていた。

「お…俺はおまえに見直してもらいたくて!」

「あら誤解だわ?鏡夜君に勝てなくても私はあなたが好きよ?だから鏡夜君に対抗するんじゃなくて、その分もっと私の事を見てほしいの」

「わかった」

そして感動の拍手。これは全校生徒も見ており盛り上がっているに違いない。

「…ていうか鏡夜…お前最初から全部わかって…」

「脅迫状をきっかけにおまえ達がアメフト部に対抗心を燃やしまくってくれたおかげで?争奪戦は過去最大の盛り上がり。中央棟サロンに加え桜蘭史にも残り、父兄の話題独占も確実だ。どうせ勝つなら最大限の利益を追求するのが常識というものだろう?」

爽やかな笑顔を浮かべる鏡夜に竜胆は少し困った笑顔を浮かべていた。それに気付いた鏡夜は何か?と濡れた頭を拭きながら竜胆に近寄ってきた。

「鏡夜って本当に可愛い」

「……は?」

「素直じゃない。環の為、自分の為、それをあえて言わずに別の言葉で隠す。何かそこまでいくといとおしいものを見ている気分になるっ…」

竜胆は小さい笑いをこらえながら鏡夜に言うと、鏡夜は一瞬呆然としたが目を逸らした。

「…お前のホモ疑惑更に広めてやろうか」

それは照れ隠し。嬉しいけれど認めたくない。私に翻弄されている所なんて。言っておくけれど、私だって鏡夜の事充分分かるつもりよ?

「それの相手が鏡夜自身だって忘れてる?」

ニッと竜胆は歯を見せる様に笑った。そんな竜胆を軽く睨みつける鏡夜。

「…も、もしかして竜胆先輩も知っていたんじゃないですか…?」

ハルヒの声が聞こえてきて竜胆は振り返った。そのままの笑顔で。

「ハルヒちゃん、大正解〜」

「ど、通りで推理には参加しなかったはずですよ、もう…」

「でも、まだ白紙の手紙の件が残ってるよ?さて、ハルヒちゃんに問題です。白紙手紙はどうしてオレンジの香りがするのでしょう?」

竜胆は微笑んだ。




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