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竜胆と鏡夜が第三音楽室へ戻ってきた時他のメンバーは捜査途中だった。犯人が分かっても竜胆は何も言わずに皆の推理を聞いていた。
「何せよ送り主はホスト部さえ排除できれば争奪戦に勝てると考えてるって事ですよね。そうなると“ホスト部を脅威とみなす優勝候補者”に犯人は絞られるんじゃないでしょうか?」
「ただの私怨かもよ?」
「“ただでは済まない”とかいって具体的な脅し文句書いてこない辺りなんかバカっぽいしさー」
「どれも柑橘系の匂いがする」
崇がそういうと皆が紙に鼻を寄せる。それは確かにどことなく柑橘系の匂いがした。
「ホントだ〜犯人は果物好きさんかもしれないねぇ〜」
それに思い当たる所があるのは環だ。犯人は生徒会であると突然現れたのはオタク推理をするれんげだった。れんげはライバル的な存在は生徒会だと豪語するもノックの後入ってきた生徒会長を見てこっそりといなくなった。生徒会長が直々に自分達は中央棟サロンを辞退すると言うので入ってきた。今年はチェスではなく、体力戦になるのが不安だからと、生徒会長は胃弱だと誰もが感じた。
「ホスト部の皆さんは棄権などは…」
そう言うのは満山香南だった。彼女は生徒会のメンバーだったのだ。
「しませんよ?」
「そうですか、頑張って下さいね」
そう言う彼女の顔は少し残念そうな気がしたのだ。
「そういえばさっき先輩何か言いかけて…」
「…一人だけいるんだよ。該当者。あのまま導き出すのが正解なら犯人は十中八九―…」
環が言いかけたその時第三音楽室のドアが荒々しく開き、三人の学生が入ってきた。しかもセンターの一人はオレンジを食べながら。しかもしかも皮ごと。ハルヒはそれを見てどこからつっこめば良いのか分からなかった。
「ふぅん…生徒会は尻尾を巻いて逃げ出しますか…しかし賢明な判断でしょう。どちらにしろ今年の争奪戦は我々アメフト部とホスト部の一騎打ちになるでしょうからね」
どうやらよく喋るオレンジを皮ごと食べるそれがアメフト部の部長の九瀬だったのだ。竜胆は九瀬の姿を見ると立ち上がって彼の様子を伺った。
「やあ鳳君。去年のチェストーナメントではわざと負けたという噂が流れているんだが一体どういう事なのかな?」
九瀬は鏡夜につっかかる。それでも鏡夜は笑顔でそれを流している。その態度が更に九瀬を煽るのだ。柑橘系の匂いってまさかとは思うが、こんなにバレやすい事をする犯人もいないだろうととりあえず保留。私怨説は有力になってきた。そう思うのは犯人を知らない面々。
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