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「ハァ!?ハルヒとケンカして別れたァ!?」

馨が大きな声をあげて言った。それを聞いた環は馨から電話を奪い取って会話し始める。

「光。車に乗るところは確認してないんだろう?なら戻れ。戻ってハルヒをちゃんと連れて帰ってこい」

そして環は声を張り上げた。

「馬鹿野郎いいから戻れ!こんな雨の中女の子一人置いてくる奴があるか!一人前にやきもちやく前に相手の気持ちをもっと考えろよ!ハルヒは雷が怖いんだよ!」

それを聞いた周りはシンとした。環は凄い剣幕だった。彼がここまで怒る事はとても珍しく誰もが呆然としていたのだ。

「至急車を。探しに行くぞ」

皆頷いて外へと飛び出した。途中荒井がバイトしている所へ電話をかけても、ハルヒは車に乗らずに光を追いかけたと言う。ならば、その間の道を探すしかない。そしてハルヒと光を発見したのは雨が幾分落ち着いた時だった。途中の教会二人仲良く眠っていた。皆安堵の息を吐いた。次の日、光を今度こそ荒井に謝ろうとさせるも荒井本人が気にしていなかったのだ。光が荒井からスイカを受け取りありがとうと言っただけでも大きな進歩だった。

「ところで馨。光に思いやりをもたせる目的の例のデートだがな、勢い余って恋愛感情が芽生える可能性は考えなかったのか?」

「あ――…それはまだ早いんじゃない?光アホだし」

「アホが多いからな。うちの部は」

「イヤまったく」

鏡夜と馨が話す光景を竜胆は後ろから見ていた。

「確かにアホが多いわね」

そんな声が聞こえると鏡夜と馨は後ろを振り返った。そこに居たのは真っ黒な日傘を持つ竜胆。

「気付かないアホも居れば無自覚なアホ、鈍感なアホもいるかもしれないわね」

そう言いながら楽しそうにスイカを囲み、これからスイカ割りだと意気込む彼等の方を竜胆はぼんやりと見ていた。手に持つ真っ黒な日傘は楽しむ事を忘れたのか、くるくる回る事はない。




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