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竜胆は皆から離れて光と馨の部屋へ向かった。一応ノックをしたが返事は返ってこない。竜胆はそれを気にせずにドアを開いてベッドの膨らみを見つけて、その横に座り込んだ。

「まるで子供ね」

ぽんと布団越しに体を叩かれた光は苛立ちなのかピクリと体を反応させた後深く布団に潜る。

「そうやって殻に閉じ篭って何が見つかるの?気付けるのは息苦しさと真っ暗で何も見えない、自分は光っていませんでしたーって事だけよ。名前負け」

「何が言いたいんだよ、竜胆ね――…!」

「捕まえた」

竜胆は出て来た光を抱きしめた。竜胆の行動に光は固まるだけだった。

「…双子って面白いよね。同じ環境で、同じ人付き合いして、同じ物を食べて育ってきたはずなのに、まるで違う人間なんだもん」

「……何が言いたいワケ」

「悪かったのは誰かな?光?馨?ハルヒちゃん?荒井君?それとも皆?」

「…僕。僕一人」

うん、それを分かっているなら良しと竜胆は光の頭を撫でた。

「そして光は今馨の行動に驚いている」

その言葉に光は体をビクリとさせた。何で分かったの?そう言うように光は竜胆の目を心配そうに見る。

「違いが出たんだもんね。馨がどう思っているのか私は知らないけれど、今はっきりとした目に見える別々の個性が見つかった気がしない?」

「別々の個性?」

「例えばね。良く言えば光のさっきの行動は自分の気持ちを表現しただけ。馨はさっきの光の行動を悪いと思って荒井君に謝った。でも悪く言えば光は感情的になり過ぎ。馨は自分を犠牲にした。ね?それは二人のバラバラな性格じゃない」

竜胆の言葉に光は目を見開いた。それを見て竜胆は優しく微笑んでから立ち上がる。

「まずハルヒちゃんには謝らないとね。頑張れ、光」

パタンと扉を閉めてから竜胆は階段を下りた。心配そうに見ているのは馨。馨ってば意外と心配性なのね。竜胆は再び優しく微笑んだ。

「光ね、少し混乱してるみたい」

「混乱?」

「…うん。でも大丈夫よ。きっと光は良い方向へ進む。だってハルヒちゃんがいるんだもの」

竜胆はハルヒの頭を撫でながら呟いた。




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