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「光馨!おまえらも来い来い!ハルヒの中学時代のエピソードが聞ける貴重な機会だぞ?」

「別に聞きたくありまセ――ン。つーかバッカじゃない?何でそんな過去の話で盛り上がれんのか意味がわかんない。そいつもさー相手にされてないってわかんないワケ?ハルヒん中にお前の入る場所なんかないっつー――…のっ」

その時ハルヒがスタスタと歩いて光の頬を引っ叩いた。乾いた音が響き渡る。

「そんなの光が決める事じゃないよ。人の友達にこれ以上失礼な事するなら許さないから」

「…なんだよ…他のやつの事なんてどうでもいいだろ!?おまえの友達は俺らじゃんか!」

そう言うと光はキッと睨みつけてから自分の部屋へと走り出していた。

「あ!光!待てってば!」

その後を馨が追って行く。辺りには不自然な沈黙が流れる。

「…う――ん…まだまだ世界狭いな―…あいつらは」

環は溜め息と一緒に抜ける様な言葉を吐いた。が、“あいつら”その言葉の間違いに気付いたのは一人だけ。

「荒井君。気を悪くしちゃったらごめんなさい。あの子まだ子供なの。出来るなら許して欲しいわ」

「い、いえ!」

竜胆の丁寧な言葉に荒井も思わず敬語になってしまった。

「荒井君、ごめんね」

「いーよ、なんか俺も気に障る事しちゃったみたいだし。あの光って奴にも謝っといて…」

荒井はバイトの途中だからと帰る所に謝んなくていーよと声がかかる。そこに居たのは光。正しく言えば先ほどまで光が着ていた服を着ている馨。

「…色々悪かった、ごめん」

馨が謝れば手を振って自転車を漕ぎ出した荒井の背を見送ってハルヒの一言。

「馨。なんで光のフリしてるの?ちょっと!ほっぺたの傷は?」

「スティックコンシーラーでちょちょいっとネ☆光の機嫌まだ直りそうもなくてさ――つきましてはハルヒ。ちょっと頼みがあるんだけど?」

周りを無視した馨の言葉。その言葉にどんな意図があるのかは分からない。

「馨。私ちょっと光と話してくるわ。少し二人きりにしてもらえる?」

「…うん…。竜胆ねぇ、ありがと」


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