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「ナルホド。バイトとはね」

「だから僕らが誘ったバリ行きも断ったワケか」

「僕等も一緒にスイス行こーって言ったのにねぇ」

「うちの国内リゾートを安く使えばと言ったんだがな」

「そうだよ。鏡夜のトコのリゾート結構素敵なのに」

皆個人でハルヒを誘っていた事に環は苛立ちを隠せなかった。

「自分さえよければいいのか、連帯感は皆無か!俺などは部長として皆で楽しめるプランをいっしょうけんめい…」

「「ハルヒ携帯切ってたろ」」

「だってめんどくさいんだよ」

最早環に部長の威厳等皆無。誰一人として環の話を真面目に聞こうとはしなかった。とりあえず竜胆は環の頭を撫でようとしたが、ハルヒが携帯、という言葉に反応して環は竜胆の手をすり抜けて行った。

「言っておくけど僕等がハルヒに“貸して”るんだからね」

「ちなみに“お友達”専用だから。殿は“先輩”だもんねーだ」

何とも子供の理屈だった。

「ハルヒちゃん。自分には教えておいてよ。女の子ってカテゴリー作っちゃえ」

それが無理なら番号だけ教えてもらってハルヒの携帯に登録しなければよくない?竜胆はハルヒの携帯をポチポチといじり始めた。

「いいからもう帰って下さいっどうせ新学期になれば(嫌でも)毎日会うんだから休みくらい自由に…」

「“校則第十九条。アルバイトを禁ず”」

「へぇ、そんな校則あったんだ。縁がないから気付かなかったよ」

鏡夜の言葉にハルヒは動揺を隠せずにいた。

「ご存知?あちら学校に無断でアルバイトされてるんですって」

「マアいい度胸ですこと」

「軽井沢で避暑なんて久しぶりだなぁ」

「たまには軽井沢で避暑もシブくて良いよね〜」

「海外にも飽きましたしね」

たまには日本でのんびりと休みを満喫しても良いだろう。ここまで言われればハルヒは拒否出来ないだろう。少しハルヒちゃんはかわいそうだけれど…。竜胆も夏休み早々面白い事になりそうだと小さく喜んだ。

「確かに休みをどう過ごそうと個人の自由!ならばおまえに止める権利など無いはず!我々もこの夏はVIP客としてこのペンションに滞在させて頂こ――う!」

ハルヒは心の中で大きな悲鳴をあげていた事等誰も知らない。

「ハルヒちゃん、ごめんね。アホな子達で」

「…竜胆先輩はどうしてホスト部にいるんですか…」

鏡夜は常識人かと思えば面白い事になれば良いと思っているのでやっぱり常識人とは少し違う。庶民の常識こそないが竜胆はいたって普通だった。

「えぇ。環に誘われたから、ではなく?そうだなぁ、楽しいからかなっ!」

竜胆は笑みを浮かべながらキャップを被り直した。




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