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「昨日御紹介した問題集はお試しになった?」
「はい。これ面白い問題が多いですね。いい本を教えて頂いてありがとうございます」
それをソファーの陰から見ている環と、それを見ている面々。
「「何してんの殿、ヒマなの」」
「綾女ちゃんを怒らせるとハルちゃんの勉強に差し支えるからって〜」
「「なら帰りゃいーじゃん」」
それでも帰らないのはやっぱり気になるからで。
「光、馨!このお茶をあちらの姫達に差し入れてこい!くれぐれも俺からとは言わないように!そしてハルヒの勉強具合をさりげにチェックしてくるのだ」
「なんでそんな“娘が初めて彼氏を連れて来た時の父親”みたいなんスか」
「父の威厳だよ、タマちゃん!」
「あ、てゆーかバレてます隊長」
こんな会話をしていたら綾女とハルヒがじーとこちらを見ていた。そして綾女は持参したお茶を飲み始めた。
「それにしてもあなたも大変ね。特待生で首位を維持しなくてはならないというプレッシャーは大変なものでしょう?周りの目もありますでしょうし…」
「え…さあ…あまり気にした事ないので…本当は順位とかもどうでもいいし」
退学にならなければ自分にとってはどうもいい。ハルヒはそう思っていた。
「ただ自分には目標があるので自分なりにできる所まで頑張りたいだけです。他の人とかは関係なくないですか?」
ハルヒの言葉は綾女に響いた。自分はどうだろうか。勝手に期待されて、それがいつもプレッシャー。苛々させられる。
「「あっ、クセ毛発見――!」」
「光馨!」
光と馨が綾女の髪を一房掴んだ時竜胆は立ち上がった。それはきっと触れて欲しくない部分で、今の時期なんか特に。止めようとしたが先に綾女の方が反応してしまった。
「な…」
「綾女姫実はすごい天パでしょ、これ」
「余計なお世話よ!だから雨なんて嫌いだって言ってるの!」
その視線は環へ向かっていた。
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