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そしてハルヒは面倒過ぎて選ぶ事が出来ずに鏡夜の推薦で2−Aクラス副委員長である城之内綾女にお願いする事にしたのだ。

「鏡夜。ちょっと見て欲しいのだけど。公式は間違っていないのに答えが違うんだよね」

「ん?……お前ここの足し算で間違ってるぞ。ケアレスミスだな」

なんと…!しかもそれに気付かないなんて…。なんて恥ずかしいミスをしてしまったんだ。竜胆は慌てて計算し直し、ようやく一致した答えを見て安堵した。その後方ではハルヒと綾女の姿とただでさえ雨が降っていて鬱陶しいと言うのにそれを煽るような環のたそがれ具合。

「環のクマちゃんはまだ見つからないの?」

「らしいな」

ただの環のドジなら良いのだけれど。そんな中で環達の大きな声が響いた。

「ぎゃー!なんだと、誰が誰にあいそをつかすって!?」

勉強中なのだから静かにして欲しい。それに加えて今部室には綾女がいるという事を忘れているのだろうか、竜胆は小さく溜め息を吐いた。

「…少々お伺いしたいのですけれど…ある程度の喧騒の中の方が集中できるという方がいらっしゃいますわね。ひょっとして皆様私達に気を遣って賑やかにして下さっているのかしら。それでしたら残念ですけれど私は静かな方が好みますの」

そう言う綾女の話はまだ続いている。

「そもそも今の状況は“ある程度”を超えた騒音のように感じますわね。藤岡さんの勉学を応援したいという割には言動に統一性がないのではなくて?私そういった歪んだ姿勢は嫌いですの。ともかく要するに静かにして下さらない?」

要点を話すまえの前置きが長すぎた。その感息を止めていた面々は息切れを起こす程だった。どこで息継ぎをしているのか分からない、単調めいた独特のトーン。それを踏まえた上でモールス女史と勝手にあだ名をつけていた。

「それにしても鏡夜。どうして城乃内さんをハルヒの家庭教師に?城之内さんは明らかに環を前にすると変わるでしょう」

「なんとなく、だ」

「…鏡夜。あなたって好きな子はいじめたくなるタイプでしょう…」

実は小学生みたいな心を持っているに違いない。環が好きなあまりの嫌がらせなのではないかと思い始めた竜胆。竜胆の言葉に鏡夜は何も言わずに竜胆をジッと見ていた。

「な、何…?」

思わずドキッとしてしまった心臓を押さえ込む様に胸に手を当てて竜胆は身構えた。

「…いいや、何でもないよ?」

そう爽やかに笑う鏡夜には何か裏がある。竜胆はそう思っていた。が、鏡夜の行動に深い意味はなかった。ただずっと見ていたらどんな反応をするのだろうか、その程度。だけれど、良い収穫だったと鏡夜は微笑む。




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