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僕のぶっきらぼうの答えにも竜胆ねぇは笑顔を浮かべる。それはまるで合格、花丸と言っているような笑顔だった。竜胆ねぇは僕らにとって姉の様な存在だった。何せ小さい頃は本当に毎日と言っていい程一緒に居たのだから。竜胆ねぇも双子でどこか通じ合うものがあったのかもしれない。小さい頃から僕らを間違えたりはしない存在はとてもレアで、大事にしなきゃいけないというのは子供ながら分かっていたのかも。いたずらするのも一緒に楽しんでいたくらいだ。今はなかなか真面目ちゃんと化しているけれど、結構やんちゃな子供時代だったと思う。でも、一度僕らは泣いて竜胆ねぇを責めた事があった。

『りんねぇにはわからないよ!』

『りんねぇはおんなのことおとこのこのふたごなんだから!』

そう言った僕らに対して竜胆ねぇは少し困った様に微笑んで言ったんだ。

『…そうだね。でもね、だから何だろう?男の子と女の子だから何だろう?だいじなのは光とかおるは別々の人だってこと』

その頃の僕等はそれの意味がよく理解出来ていなかった。

『今はわからなくていいよ。でもね、いつか分かってくれたらうれしいな。それまではわたしが光とかおるのお姉ちゃんになってあげるから。さびしくなったらだきしめてあげるから』

どうしてかその言葉が響いて僕等は二人で泣きながら竜胆ねぇに抱きついた。そんな事を言った後竜胆ねぇはいなくなったんだ。弟の僕等を置いて遠い国に行ってしまった。その内だんだん薄れていく竜胆ねぇの記憶。だけれど、確かに言われた言葉だけはいつまでも残っていた。それはきっと馨にも。一歳しか違わないはずなのにすごく大人に見えた彼女はいつの間にか僕等より小さくなっていた。

「光。そう言えばさ、鏡夜がひどいの。私のお菓子経費削減してハニー先輩の方にまわすって言うの。それが無理なら指名率あげろって権力振りかざしてるよね」

竜胆ねぇの周りにはいつも人が集まっていた。でも、いつか竜胆ねぇが誰か一人を選ぶ時が来た時弟として僕は協力してあげたい。それが僕なりのお礼。竜胆ねぇの言っていた意味はまだ少し分からなくて悩む時もある。だから寂しくなったらまた抱きしめて。大事な人が見つかるまでは僕等のお姉ちゃんで居て下さい。

「鏡夜!あんたが手伝ってくれないから光が手伝ってくれた!」

「光が?珍しいな」

「鏡夜のアホー!ケチー!」




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