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「そうですか…うっ」

新聞部部長の小松沢は痛そうに額を押さえた。そして過剰に反応する周りの二人と環。

「残念ですが潔く廃部にするしか」

「そんな事はない!人は必ずやり直せる!よかろう、俺にまかせろ!ホスト部総出で新聞部の立て直しに全面協力すると…」

「「僕らやんないよ!」」

「私も嫌」

あんなわざとらしいタイミングで額が痛みだすものか。それに密着でもさせられてみろ。お客様に迷惑がかかる他、自分とハルヒの最大の秘密だってバレかねない。

「なっ!?」

「そう毎度殿のお人好しに付き合ってたらキリないの!」

「つーか面倒じゃん、もう帰ろーよ」

「環。戻るぞ。部室で今日の反省会を…」

帰ろうとした面々を環は必死の形相で引き止めた。

「おまえらには血も涙もないのか!廃部だぞ!?一家離散だぞ!?これは部長命令だ!断る事は許さん!」

「「お断りします」」

環は部長権限が無い事をようやく知ったのだ。そして第三音楽室に戻り、皆着替えるも環は着替えずに膝を抱えぶすっとしたまま庶民菓子を食べていた。

「あからさまに怒ってるよ」

「“凄く近くにいるがあえて目を合わせない“という子供の喧嘩の仕方だな」

環はブツブツと呟きながらやはり怒っているらしい。

「…新聞部に協力してあげるのってそんなにダメなんですか?」

「何、ハルヒ珍しく殿サイド?」

確かにここにハルヒが入ってくるのは珍しかった。面倒な事は願い下げ、というタイプだというのに。

「そういうわけじゃないけど…このままにしておいてもその内チラチラこっちを子犬の様な目で見始めて結局こっちが折れざるを得なくなるだけという妙な確信が…」

「ハルヒ…確実に経験値をつんでいるな」

「うん、成長してるわ」

そんな環は予想出来すぎていて怖いくらいだ。


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