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「光邦に投げ飛ばされるくらいじゃないと俺の気が済まない」

「…あの女の子の申し出を断ったのも?それも自分に罰を与える為に…?」

バレンタイン自粛でも崇に気持ちを伝えようとした女の子。せめてチョコを受け取ってもらえれば諦める。その言葉でも崇は断ったのだ。普段の崇ならばせめてものかわりにチョコを受け取ってあげる、それが崇流の断り方だっただが今回はあえてそれを受け取らずに女の子を傷つけ自分を傷つけたのだ。

「つーかそれってハニー先輩とその女子はとんだとばっちりなんじゃ…」

「不器用この上ないっていうか」

「こらこら、そんな事を言っちゃいけません。それがモリ先輩の優しさなんだよ」

「…だ、そうですよ。ハニー先輩」

環が光邦を説得し、戻ってきていたのだ。

「ごめんね、崇ィ〜〜〜!僕もう歯磨き忘れないよォ〜!」

光邦は涙を流しながら崇に抱きついた。崇はそんな光邦に困惑しながらも彼の頭を撫でる。環はきっとそれに気付いていたからこそ光邦を追いかけたのだ。二人がどんな会話をしたか分からないが、少し想像は出来たと竜胆は優しく微笑む。

「では皆の衆。至急明日のバレンタインの準備を」

「「何言ってんの?今からじゃ誰もチョコなんて…」」

「言わなかったか?俺はフランス紳士だぞ?と、すれば無論!」

そして忙しくホスト部員達は彼等なりのバレンタインの準備を始める。

「これが今年のホスト部流バレンタイン…!」

――お客様には愛を お返しにはとびきりの笑顔を。そしてその想いには応えられなくてもせめて一輪の薔薇の花を。今年のホスト部流バレンタインは欧米流。部員達は皆薔薇の花を抱えていた。それは日頃お世話になっているお客様達への愛の形。竜胆は笑顔で薔薇の花を渡していた。

「はい、ハニー先輩。甘い物解禁おめでとうございます!一緒に食べましょうね」

虫歯が完治したお祝いにたくさんの甘い物が届いていた。竜胆も笑顔で光邦にケーキを差し出した。

「りんちゃん〜!ありがとう〜!僕のせいでごめんねぇ〜」

「そうですね…お詫びは日曜日!おいしいお菓子同盟の活動をすること、それでいいですよ?」

お客様達も素敵な笑顔で幸せで、ハニー先輩とモリ先輩も仲直りして幸せそうに微笑み、皆が幸せになれば良い。それが私の幸せになるのだから。




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