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二人が藤岡家に入るとちょうど環が土下座をしている所だった。ハルヒの父と思われるオカマさんの前で。

「真剣に娘さんの事を実の娘のように思っています…!」

随分とアホなタイミングで帰ってきてしまった。そして環は落ち込み部屋の隅で膝を抱えていた。

「そっかー君達が噂のホスト部のねーホンットにいい男揃いね――ェ☆どの子にしようかな〜なんちゃって☆」

そう言うハルヒの父はあまりハルヒと似ていない様な雰囲気だった。

「ワタシの事は蘭花さん☆って呼んでくれていいワよ〜☆」

蘭花とはハルヒ父の源氏名らしい。ばっちり化粧された蘭花は確かに美しい。喋り方や動作でさえも女の人らしい。唯一違うのは声ぐらいだろう。着ているものからはあまり骨格は分からない。そんな蘭花と自分を見比べて自分を女だと気付くハルヒとは一体何者なんだろうか。竜胆は首を傾げた。

「へぇ〜おそろいだねぇ〜」

桜蘭と蘭花。この空気は和気藹々としていた。環を除いては。

「偶然ね〜光邦君☆」

「「あれ、なんで名前知ってんの?」」

「3年の埴乃塚君に銛乃塚君。2年の柊竜胆ちゃんに1年の常陸院光君に馨君でショ?いっつも話聞いてるわよ☆」

「え…ハルヒが…?」

まさか自分達の事をいつも話していてくれた…?そんな感動をぶち壊す蘭花の一言。

「鏡夜くんにおデンワとメールで☆会うのは初めてだけど予想以上にいい男ネーッ☆」

その言葉に皆は驚いた。まさか二人がメル友だったとは…!今考えれば鏡夜はハルヒの中学時代の写真をとある筋から入手したと言っていた事を皆思い出した。

「鏡…夜…」

環は怒りのあまり鏡夜の肩を掴むも鏡夜は何一つ気にして無い。

「大切な娘さんを部でお預かりするんだ。御挨拶は勿論、定期的な報告は当然の義務だろう?本来ならお前の仕事のはずだが?」

確かに鏡夜の言う通りだった。そして追い討ちをかける蘭花の言葉。

「ホンットよくできた部長さんよねェ〜☆あら?鏡夜君は副部長さんだったかしら?よっぽど才のない部長さんがいらっしゃるのかねェ〜?ああ、女の子を弄ぶのにお忙しいのねェ〜?」

その言葉で環は押入れの中にこもってしまった。

「ちょっと!お父さん!鏡夜先輩と繋がってるなんて聞いてませんよ!」

「えーだってハルヒってば学校の話全然してくんないんだもーん」

「ハルヒ…あんたって子は…怒った顔も可愛いッ☆」

その親子の抱擁を見て気付く。通りでハルヒは環の扱いに手馴れているはずだと。そしてハルヒはスーパーには一人で行くと家から出て行ってしまった。

「自立精神は尊重したいけど、たまには甘えてほしいわよネー。あの子ってば桜蘭行く話も入学手続きも全部決めちゃってねェ」

中学の時ハルヒは既に今のハルヒのままらしい。蘭花の話を聞くとそう思った。親としてはもう少し外見に気を使って欲しかった。中学までは整えてあげていたが、高校に入り自分で髪を切った時にはもう…と蘭花は涙を零した。確かにあれはひどかった。竜胆でさえそう思ったのだから余程だ。


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