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鏡夜のエスコートでやってきたのは呪いがかかっていると噂のハルヒがいるクラス。1−Aが集まっていた第一調理室だった。
「ハルヒ、ここにいたか。今日のダンスパーティーの件だがおまえ、部の方で参加を…」
「あー!ハルちゃんみ――っけ☆」
「鏡夜先輩、竜胆先輩、ハニー先輩モリ先輩。なんかお久しぶりです」
「そうだな」
今回は出なくていいと思っていた。そんなセリフを言おうとする鏡夜の口を竜胆は慌てて塞いだ。
「ハールちゃんっTtick or Treat!」
そう言う光邦にハルヒは作ったばかりのクッキーを渡すもクッキーは塩味。そして近くでナイフを使っていた光はそれで指先を切ってしまい流血した。光を保健室に連れて行こうとするハルヒは光の次の言葉に違和感を覚えた。
「ハルヒ…今日のダンスパーティー僕らと踊る?踊るって約束したら保健室行ってもいい」
ハルヒはようやく気付き、光の怪我を水で流すとそこには傷跡なんて全くない無傷の指。全て双子の思うツボ。慌ててハルヒしか見えない魔女を見に行けばそこには馨。あえていうならこれは魔女の呪いではなく双子の呪いだと言う事に気付いた。
「へえ…つまり?おまえらは朝っぱらから魔女の扮装をハルヒに目撃させ、言い伝えを悪用しその後も交替で魔女役を務め?ガラスにヒビを入れ、時計を狂わせ、怪我の演技にクッキーのすりかえ」
それからそれから等双子のいたずらはまだまだ出て来た。竜胆はハルヒに近付き耳元で囁く。
「ハルヒちゃん、光と馨を許してあげて。ただ素直じゃないだけなのよ」
竜胆の言葉にハルヒは首を傾げた。
「そういう事でいいのかな?光君、馨君」
「「だってさァ――」」
「“だってさァ”じゃない!ハルヒに謝れ!」
ハルヒに迷惑をかけた事によって光と馨は部室で正座までさせられていたが、ようやく本音で話し始める。
「「だって殿がハルヒにお菓子渡しとくのも、ハルヒがフツーじゃ仮装なんかしてくんないのも予測済みだったし!」」
「悪かったよっ」
「一緒にハロウィンしたかったんだよっ」
「「ごめんなさいっ」」
顔を赤くした光と馨は素直に謝ったのだ。そんな二人を見てハルヒは竜胆の言葉の意味を理解した。
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