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「おーハルヒー」

「ハルちゃん、ハルちゃん☆僕お姫様〜〜☆似合う〜?」

「何のまねだ!我々の文化を愚弄する気か!」

「愚弄…?まさかとんでもない。全て計算通り!これは庶民なら泣く子も喜ぶ必殺奥義“ひとつぶで二度おいしい”大作戦なのだ!」

わけがわからないと言うようなロベリアの三人の前に環は言葉を続けた。

「ロベリアの箱入りお嬢様にはわかるまいが庶民はとかく“オマケ”に弱いもの!確かにハルヒはヅカ部に魅力を感じているかもしれん。だがしかし我が部を選べばお兄様もお姉様もついてくる」

「「それ言ったら竜胆ねぇが一番お得だよねー」」

人を商品みたいに言わないで。竜胆はお嬢様姿の光と馨を横目で見た。そういう竜胆は男装のまま、いつもより凛々しい顔立ちは男役用の化粧のせいだろうか。

「ホスト部にいながらヅカ部気分も味わえるというすんぽーなのだ!」

その発想はアホだが悪くはない。と竜胆は小さく笑った。

「ハルヒ、どーかしら?」

「おまえのお父様とどっちがキレイ?」

ぽかーんとしたままハルヒは動かない。

「女装姿がハマり過ぎるから自分は男装なの。いいでしょ、こっちも」

「ハルちゃん、ハルちゃん。…お姉様って呼んでいーよ?」

「そんなものに乙女が騙されるか!ふざけるのもいい加減に…」

「ぶっ!」

ハルヒは吹き出した後、肩を震わせながら笑いを堪える。

「バカだバカだとは思ってたけど…限界っ…イミわかんな…」

「「「そんなおかしい?」」」

その言葉にハルヒは声をあげながら笑っていた。その目には涙が浮かぶ程。こんなハルヒが笑った所を見た事がなかったような気がする。

「あははは!」

「ほーら、お姉様とお呼び――!」

「ほんとやめてって、も――」

ハルヒはお姉様達に囲まれながら未だ笑い続ける。それを見ていたのはロベリアと環――…。

「すいません。世の中には色んな人がいるし皆さんのような考え方も独特で面白いとは思いますが…」

ようやく笑いがおさまったハルヒは紅緒と向かい合って真剣に言う。

「自分には叶えたい夢があって…桜蘭に入ったのはその為だから。はじめから桜蘭をやめる気がないんです」

「諦めないよ…乙女達。僕は誓う!必ず君を救いホスト部をつぶしてみせると…!」

そう言いながらロベリアの三人は帰って行った。それと同時に項垂れる一人。

「「竜胆ねぇ…」」

「…お前知ってたのか!?ハルヒが桜蘭を辞める気がないのを…!」

光馨、環の言葉に竜胆は顔を上げた。こちらとしてはロベリアがまだ自分を諦めていなかった事にショックを受けていたのだが、そう言っている場合でもない。

「知ってたよ」

「なら何故言わんのだ…!」

「誰も聞かなかったし。第一ハルヒちゃんからしたら、他人に自分の夢なんか言ってほしくないでしょう?」

「竜胆先輩って常識人ですね、意外と」

「知らなかったの?そこにはビックリだ。ま、でもこれから女子部員同士仲良くしましょうか」

竜胆は微笑みながらハルヒの頭を優しく撫でた。それに対してハルヒも微笑んだ。




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