「お前酒禁止」
「…じゃあ、美作さんに作ってもらったカクテルで最後にするよ」
仕方ない。光は色が綺麗なカクテルを一度ライトの光りに透かして見た後、軽く口を含んだ。
「…わ、美味しい。美作さんすごいなぁ、こんな美味しい物作れるなんて」
光は上機嫌で美作を褒めた。酔って気持ち良さそうな光を他所に西門と美作は顔を見合わせから類とつくしを見た。
「あのさー前から聞きたいと思ってたんだけどよ、類と牧野。おまえらっていったいどこまでいってんの?」
「ええ!?」
「表参道」
予想外の類の言葉に聞いていた者達がガクッと倒れた。
「…あのなあ、デートの場所じゃないのよ、お兄さん達が聞いてるのは」
「エッチしたかどうかってきいてんのッ」
それを聞いた類とつくしは固まったまま動かない。それはまさに何もしていない証拠でもあった。
「信じらんねーーっ!」
「類おまえどっか悪いのかよ!?そりゃあナイスバディーの静みたいな女と比べりゃ牧野なんて人魚とタコ位の差があるけどよォ!」
その言葉に光は小さく笑った。
「おまえそれでも健康な男子か!?」
「そ、そんな事より二人の方気になるわ!西門さんと光!」
「はぁ?んなわけねぇだろ――」
「ないない。だって――」
「「異性として見てねぇ」」
二人の声が見事揃ったのだった。
「…だからだったのね。なんか不自然なかんじがするのは」
顔を真っ赤にした椿が小さく呟いたと思えば突拍子も無い事を口にした。
「あんた達二人がいつまでもグズグズしてるから、司のよーな邪魔者が入り込もうとするのよ!類ッ!今夜うちの部屋を貸してあげる。男なら決めなさいっ。私がゆるす――ッ!」
「そーだ、やれやれーっ!」
囃し立てる西門と美作。
「光!和也君、助けて!」
「…つく、むぐっ」
光が口を挟もうとした瞬間、光の口は西門の手によって塞がれてしまった。一体何だ、光はそのまま首を傾けて西門を見上げた。
「光は残念ながら助けてやれねーよ。なんせ今日俺と初夜を迎えるんだから」
その言葉を聞いて光は口を塞がれたまま笑いを零す。初夜って…!光は何が面白いのかとつくしの冷めた目。そうこうしている間につくしと類は美作と西門の手によって別室へ連れて行かれた。その扉にはご丁寧にも鍵をかけてきたらしい。
「やべ、超楽しい」
「腹黒いって言われるでしょう、総二郎さん」
「いやいや、お前には負けるぜ、光ちゃん?黙って見てたくせに」
「…これがつくしにとってきっかけになれば良いなとは思う」
はっきりすれば良いんじゃないか。ただそれだけ。
終