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「光ちゃん、ちゃんと食べなさいよ!飲みなさい!」

「あ、はい。頂いてますよ?」

椿は酒癖が悪いのか皆にどんどん勧めて行く。光の取り皿には料理が山積みになっていた。これでも食べた方なのに…。次から次へと乗せられる為に追いつかないのだ。

「もーくえねーよ。牛やブタじゃあるまいし」

「あんたはそんなだから細っこい腰してんのよッ!」

総二郎さんを叩くなんて流石道明寺さんのお姉さん。私は流石に叩くなんて出来ない。暴言レベル。あ、私そう言えば最初に総二郎さんに言った事謝ってなかったなぁ、まぁいいか。気にしてないみたいし。ぼんやりと考えながらワインに手を伸ばす。

「しかしあんなに小さかったあんた達がこんなふうに大きくなるなんて、おねーさん感動しちゃうわねー…女の子を…うばいあうような年頃になっちゃったのねえ…」

そう言う椿は懐かしそうに、少し寂しそうに。光も同じように昔を懐かしむが、昔の事を思い出すのは少し苦手だ。

「すいません、私酔い覚ますのでテラスに出てますね」

光はそっと立ち上がってその部屋のテラスへ出た。ぼんやりと外を見ながら自分が今すごい所に居る事を実感した。まさかあの天下の道明寺家に居るなんて。あの頃の私は道明寺、なんて家は知らないし、そういう世界とは無関係に過ごしてきたと言うのに。光はぼーっとしたまま煙草を銜え、ライターに手を伸ばして、いつものように紫煙を見上げた。

「光ちゃん」

椿の声が聞こえて光は慌てて火を消そうとした。

「いいのよ、別に。そのままで」

椿は壁に寄りかかりながら光へ問いかけた。光はお言葉に甘えて…と再び煙草に口をつける。

「…婚約と言っても本人同士の意思じゃないのね」

「…はい。祖母の勧めです」

お家どこだっけ?あぁ、だから西門家か、椿は小さく呟いた。それは良縁よね。

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bkm
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