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「あはははっ!」

光はお腹を抱えながら笑った。

「バスケ勝負…!私そういうのも好き!」

道明寺が校長に二人の退学を掛け合っている時、道明寺の姉、椿がやってきたのだ。ぐだぐだと決着がつかない。牧野の代わりに俺が辞める。私が辞めれば丸く収まる。類が辞めるなら俺も辞める。そんな言い争いの中、椿が下したのはスポーツ勝負で負けた方が何でも言う事を聞く、そんな単純な物だった。その話を聞いて光は爆笑していたのだ。

「総二郎さん、スポーツ似合わなーい!汗かくなんてバカらしいとか思ってそうだし!」

うっ、光の言葉に西門は目を逸らした。当てられた自分が少し気恥ずかしい。

「…私、椿さんと気が合いそうかも。ややこしい事とかぐだぐだしてるの嫌いだし、やっぱりスポーツ勝負って燃えるよね!私、つくしのチームに加戦したいなぁ」

「いや、そりゃだめだろ!和也が出る事になってるしな、お前運動神経良いんだろ?助っ人なんてだめだろ」

「自信無いの?」

「はぁ?お前俺の事バカにし過ぎ。スポーツで推薦来るレベルだったの。ただめんどーなだけ」

そう、ちょっと残念。折角バカに出来ると思ったのに。光は小さく笑った。

「どっちが勝つかなぁ、楽しみ」

「何、お前牧野を応援してんだろ?」

「そうだけど、道明寺さんがバスケ勝負を受けたって事は、そこまで本気じゃないのかなって思ったの。お姉さんの言う事わざわざ聞く必要も無いでしょう?本当に怒ってるなら」

「…まーな。…どっちにしろ司は牧野の事本気なんだ。牧野が類に取られたもんで、それを許せねーんだ。まぁダチに取られたらな、どーしようもないだろうな、あいつも」

幼馴染に好きな人を取られる。その状況になった事が無いから自分は想像しか出来ない。例えばつくしが私の好きな人を取ったら…どうだろうな、悔しいけれど、応援してしまうのかもしれない。

「総二郎さんは許せる?好きな人取られたら」

「…許せるな、だってもめんのとかめんどーだろ」

「…じゃあさ、それはその好きな人の事本当に好きじゃないんだ」

それか友達の方が好きか。だけれど光はあえてそれを口にはしなかった。実際に友人と取り合った事は無いし、自分への慰めのようで嫌だったからだ。西門は黙った。それに光が慌てて口を開く。

「あ、ごめん。私の話。私もさ、許せちゃうんだよね、多分」

「…なぁ、光。お前さ本気で好きな奴居た事ある?」

「私の恋は本気の恋の一度きりだって前に言ったよ。でもね、私のせいで壊れちゃった」

光の言葉に西門は眉間に皺を寄せた。何だって、こいつは俺と似ているんだろうか。俺が思い出すのはあの日、あの時間、楽しかった日々。一度チャンスを逃して全て終わってしまったあの恋。唯一守りたかったもの。



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bkm
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