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「…ねぇ、つくし。何か考えた?」

「…光。あたしと一緒に居る所見られたら何されるか分からないよ」

そこじゃないんだけど、つくしはいつも自分よりも他人の心配なんだな、今はそれが少し寂しく感じた。私は今更そんな事を気にしたりはしない。

「大丈夫。総二郎さんの“せいで”小さないじめはあるけど、可愛いもんだし、何か今百人斬りしたとか噂が一人歩きしてくれたせいで、むしろ恐れられてる!」

光は笑いながら言った。そこ、喜んで良い所じゃないよ…。つくしは買ってきた紙パックのジュースのストローを銜えた。

「…そう言えば光は西門さんの婚約者なんだよね」

「うん、一応」

忘れてたの?光は小さく笑った。

「…やっぱり親同士が決めたの…?」

「そうそう。じゃなかったら私総二郎さんを選んだりしないよ〜」

自分の一生がかかっていると言うのに光の物言いは随分と軽かった。

「それにね、お互い婚約話に何も言わないのは、いつかこうなる事が分かってたからさ、遅いか早いかなんだよ。こういう世界の子供って言うのは結局そういう所」

それは寂しくないのだろうか。そういう風に割り切れるものなんだろうか。未来を諦めているような気がしてつくしは眉間に皺を寄せた。

「そう言えば光、好きな人いるって言ってたじゃん!」

どーなったの!?つくしは前かがみに光に問い詰めた。

「…そうだね、つくしには言うよ。好きな人、いるんだ。勿論総二郎さんじゃなくてね。…本音を言うなら婚約なんてしたくないし、その人の事ずっと待ってたい」

儚いものだとして言っても、例えあの言葉が嘘だと分かっていても、出来る限り待っていたい。せめて自分で見切りをつけたかった。

「内緒ね?」

そう笑う光の顔は勿論楽しそうではない。悲しそうな笑み。

「でさ、話戻そうか。つくしがどうやったら英徳にいられるか!総二郎さんも美作さんもね、流石にやり過ぎだって道明寺さんを説得してくれるって言ってたし、万が一の事があっても花沢さんがなんとか――…」

光は次々と打開策をあげていくけれど、つくしの耳はそれを右から拾って左から流していた。自分のせいで花沢類がF4から抜けさせられた。挙句の果てに退学…。今の家の状況から考えるとそれはかなりきつい、と言うか終わってしまう。それとお金持ちの子供達が抱える庶民の自分とは全く無関係の問題。彼もいつか…。そう思ったら胸が締め付けられた。

「ちょっとつくし!こらー!聞いてるのかー!ラリアットしちゃうぞー?」

「死んじゃうから!」



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