19 [ 1 / 2 ]

「今回の主犯格は三条桜子…あぁ、分かるよ。私に地味でブスって言ってきた子だ」

つくしの話を聞きながら歩いて行く。英徳でももう隣を歩ける事が嬉しかった。

「でも、私言い返したよ。性格ブスって言ってやった」

それがまさか整形美人だったとは。そんな事はどうでも良いが、道明寺に近付く為に整形か。すごい行動力のある人間だな、と思った。そんな時話し声が聞こえる。一方的に誰かを責める声だ。この学園の人達は集って人を責めるのが好きらしい。光は溜め息を吐く。

「あのブスな顔がここまでよくなるなんて医学も進歩したもんだよなァ」

すぐ角を曲がればそこには一方的に言われる桜子の姿。つくしは戸惑う事なくそれに近付いた。

「いーじゃんよ、べつに。美しさを金で買って何が悪いのよ。あんたらだってお金で買いたいもん、買うでしょーが」

光はそれを聞いて呆然とした。呆然としたのは光だけではなかった。つくしは桜子を庇うように前へ出て集っていた人を追い払う。

「…あたし、あんたのことまだ許したわけじゃないから。今思い出してもムカッ腹立って吐き気がするわ。――ただ初めて遊びに行った時あんたんちで飲んだ紅茶がおいしかったから」

その言葉に桜子は涙を流してつくしの背に両手を伸ばした。あぁ、私の憧れた人が今目の前にいる。私はこの人になりたい、この人に負けないよう、頑張れる気がする。

「つくし!」

「ん?」

「私、負けないよ」

「え、それ以上強くなってどーすんの!?」

いやいや、そういう意味ではなく。光は苦笑いをした。

「すっげードブスだったんだな、あの桜子って女」

その言葉につくしは肩を落とした。元はといえばお前らのせいだろ!そんな言葉を飲み込んだ。

「お嬢で顔より性格よりナイスバディーなんて静ぐらいのもんで――…いや、光ちゃんも行けるよ、俺は」

「いやいや、こいつは、顔身体はよしとしても、性格に難有りだ」

お前に言われたくはなかった!光は思わず声を出した。

prev next

bkm
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -