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「行こう」

つくしを抱きかかえた道明寺は呟いた。

「行くってどこへ?」

つくしのその問いに道明寺は答えない。

「ま、待って!私を助けてくれた女の子がいるの!その子も…!」

「…あいつなら走って逃げた」

「でも、お礼を…!」

「言っとくから」

言っとく?え?知り合いなの?つくしは謎を持ったまま道明寺の家まで連行される事になる。


「…誰だ…?」

西門は自分の家の前に蹲ってる一つの影を見つけ、声をかけた。怪しいとしか思えない。外灯の下に居るそれは幽霊のように思えた。

「良かった、やっと来た」

「光か?こんな時間に何やって――…ってその傷なんだ!?」

「…闘ってきた。このまま家に帰ると流石にまずいから、手当てして欲しいなと思って。まずかった?」

闘ってきた?外灯の薄明かりの下だが、軽い傷には見えない。頬は若干腫れてるし、手の甲は出血してるし、青痣も多数あるし、その他諸々の傷。お嬢様が作ろうと思っても簡単に作れる傷ではない事は確かだ。

「い、いや。お前なら大丈夫だ。とりあえず風呂な」

家に女を呼び込んだのが母親にバレると面倒な事になるが、相手が婚約者である光なら大丈夫だろう。着替えを用意させ西門は光をシャワールームに突っ込んだ。こっちが飲んでいる間に一体何があった?西門は眉間に皺を寄せながら光が出てくるのを待った。

「総二郎さん…傷沁みてすっごい痛かった…」

何を涙目になっているのか、風呂上りで赤くなった頬に照れる程ピュアではない。

「で、何があった?」

手当てしながら光に質問して行く。

「闘った」

さっきからそればかりだ。頬にでかい湿布貼るようなケンカ?殴り合いか?お嬢様が殴りあい?何と闘ったのか西門にはさっぱりだった。

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bkm
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