「あ、つくしだ。おはよ」
「おはよ、光。昨日はありがとね」
何がありがとう?光の知らない所でつくしは優紀からつくしを誰のマンションに迎えるかを一晩中考えた事を聞いていたのだ。それに対してのありがとう、だがそれを知らない光は首を傾げた。そこに桜子がやってきた。
「牧野先輩ッ、来たわね〜!おっはよー」
「あっ、桜子おはよ。桜子も昨日はありがとね」
だから何がありがとう?光は再び首を傾げる。
「どう?久々の学校は」
「うん、なんかへんなかんじ」
「あっ、ほら。F4よ。おはよーございまーすっ」
光もそちらに目を向けると、やはりそこに不機嫌ボーイの顔は無い。もう不機嫌と言うよりはさびしんぼ…さびしんぼーいと呼んでやろう。
「おーっす、桜子。光ちゃん」
「おはようございます」
「牧野来た?」
「ええ、来てますよ、あそこ…」
そこにつくしの姿はない。あるのは上履きだけだった。
「あら?あれー!?今までそこにいたのにっ。ほんと今さっきまで…」
と思えばつくしは一瞬現れたと思えば落とした上履きを拾ってまた隠れた。そこには呆れる空気。
「…なんだ今の」
「――照れてんじゃないですか。あんな人でも繊細なとこあるんですねえ」
後ろでは類が爆笑中だった。この人のツボは案外浅い所にある事を知る。道明寺はずっとつくしが居た方向を見たまま。光は美作に近寄った。
「あのさびしんぼーいは?」
「さびしんぼ…――あ、総二郎ね。あいつもホント頑固だよなぁ。光ちゃんからも何か言ってやってよ」
私から何か言った所で何も変わらないと思うのだけど。まぁ、それでも一応声をかけてみようか。光は今日西門の家に行く事を決めた。
「あ、宮永先輩ッ。今日合コン――」
「パス」
「早っ!」
昼休みに会った桜子は第一声が合コンだのなんだの言うから光は即却下した。そのついでにテラスで一緒に昼食を取る事にした。
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bkm