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「総二郎くーん、遊びましょー!」

光は西門の部屋を荒々しくノックした。それは勿論そこに西門が一人居るという事を知っていての行動だ。がちゃりと部屋の扉が開いてそこから覗くのは怪訝そうに光を見る西門の目。

「…お前さぁ、昨日泊まって学校行って、その帰りに家だぞ…昨日のシリアスはどこに行った」

「あのね、ご飯食べに行こうと思って。腹が減っては戦はできぬ!最近まともな物食べてなかったから」

それよりもとりあえず部屋に入れて下さい。さっき大声出してしまったからなんとなく恥ずかしい。光がそういうと西門は眉間に皺を寄せた。

「そんなのお前の勝手だろうが。人を巻き込むな」

「まぁまぁそんなに怒らないで。私ね、考えた」

「ん?何を?」

ソファに深く座って光はまっすぐ正面を見ていた。そこにあるのは電源の入っていないテレビ。

「…つくしの事だから案外元気にやってると思うんだ。その内ひょっこり帰ってくるか、誰かが見つける。そりゃ私も捜すの諦めるわけじゃなくて、つくしが帰ってきたら笑顔で出迎えてあげる。それが私の出来る事だろうなって」

それで体を壊してしまったら元も子も無いし、つくしが喜ぶはずがない。むしろ怒るだろうな。それを想像しただけでも笑える。

「お、ナイスポジティブ!」

「でしょう?」

西門は光の頭をぐしゃりと撫でた。

「だから、ご飯食べに行こう?」

「よし、何か美味いもん食いに行くか」

西門はジャケットを羽織り、光も立ち上がり、その腕に自分の腕を絡めた。そして二人仲良く歩いて行く。

「後、買い物行きたいなぁ」

「お、ならあれ行くか。光クラブ用の服を見に」

「行きます行きます!それで今度それでつくしに会って驚かせる」

私の普段着が世間一般の清楚系の格好をしているからつくしが見たらさぞ驚くに違いない。ねぇ、つくし。今あなたはどこで何をしていますか?私達はとても心配しています。それでも私は何も変わらずにあなたの帰りを待っていようと思います。

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