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「…優紀ちゃん、え、ちょっと待って。…もう一回言って」

《つくしがどこにいるか分からない!?》

光は朝一番の電話に起こされた。いつもの事だから西門だろう、その予想は大きく裏切られた。光は慌てて西門に電話をかけるも繋がらない。

「ったく!使えねぇ!」

思わず携帯を投げそうになった。そして光は学校へ走って行き、西門を探した。ようやく見つけたと思えばそこに和也も居た。

「総二郎さんっ…!つくしがっ…」

珍しく息を切らす光に慌てて近寄りその背を撫でた。

「落ち着け。俺らも今和也から話きいたとこだ」

つくしがいなくなった。学校には休学届けが出されていた。和也が道明寺家へ電話をしてみれば昨日の夜に出て行ったと言われたらしい。一体何が起こっている?昨日会った道明寺は特におかしい所も無かった。むしろ喜んでいたと言う。道明寺なら何かを知っているはずと思った5人は道明寺の家へと向かった。

「司、聞いてんのかよ!牧野が休学届け出したんだぜ!?」

道明寺は呆然と宙を見たまま何も言わなかった。

「あいつ行くとこあんのか!?」

「いいのか追っかけなくて」

「つくしちゃんもう戻って来ない気なのかもしれないよっ」

「…もうほんとにこれで終わっちまうぞ」

ようやく顔を動かした道明寺の目はすさんでいた。光はそれを見て一歩を動けなかった。

「……うるせえな、出てけよ」

その声も恐ろしく冷たい。驚いたのは光だけじゃない。幼馴染の三人も動けなかった。

「う…うるせえって――」

「和也っよせっ!」

みんなで探そう、そう言い終わる前に和也は道明寺に掴みあげられる。

「…聞こえねえか?うるせえんだよ」

「うぐ…」

苦しそうにもれる和也の声。

「司やめろっ!」

その声に反応したわけじゃない。道明寺は苛立ちを隠さずに軽々と和也を放り投げた。

「つ…司ぁっ!」

「出てかねえとブチ殺すぞ」

その雰囲気に負け、5人は道明寺家を後にした。

「…戻っちまったな」

一番すさんでいた頃の司に。

「ああ…」

「見たか?あの目。一番あいつがキレてた頃の目だぜ」

「いや、それ以上だよ」

事態は深刻だった。

「光?大丈夫か?お前あの頃の司知らねぇから、ショック受けたか?」

後ろをとぼとぼと歩く光の背を西門はそっと支えながら歩く。

「……私さ、強い人と戦うのって好き……だけど、今の道明寺さんを見て初めて心底怖いと思った……初めてすぐにでも逃げたいって思った」

そういう光の手は震えていた。自分でもこんなに震えるとは驚きだった。それくらい道明寺が怖いと思ったのだ。総二郎はその手をきつく握って歩き出す。

「……司には牧野がいなきゃ駄目なんだ」



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