「まぁ、紹介しとく。類は静追いかけて日本にいねーし、司は牧野にしか目がねぇから。あきら。知ってんだろ?」
雑な紹介に光は片方の口角を上げた。そりゃ美作あきらもF4の一人で有名人だ。知らないはずがない。が、関わりたいと思った事はない。紹介される事だって本来ならば不本意だ。だが、ここまで来てしまえばもう逃げられない。
「ひゃー。間近で見るともっと美人じゃん!お前どこで見つけたわけ?」
「初めまして。宮永光です」
光は恭しく頭を下げた。
「宮永って…あれ?総二郎が探してるって彼女?英徳の?」
「そ。で、一応俺の婚約者」
「婚約者って…えぇ!?」
美作の思考が落ち着くまで光と西門の二人は黙っていた。落ち着いた所で、わざわざ紹介した総二郎を訝しげに見る。こいつが婚約者を俺らに紹介しようとしてた?何でまた。そんな疑問だ。
「宮永っつったら華道の家元か。まぁお似合いだな。で、お前にしちゃ珍しいじゃん。紹介するようなタイプでもねーし」
「俺も面倒だから黙ってようと思ってたんだけどさ、こいつ意外におもしれーの!」
その言葉に光は眉間に皺を寄せ、不恰好な笑顔を浮かべた。反面西門は笑みを浮かべている。
「だって、こいつ俺が女と会ってよーが気にしねーし」
「え、いいんだ?」
美作の言葉に光は頷いた。遊んでいようが構わない。私が欲しいのはこの人ではなく、家柄だけなのだから。
「かと言ってこいつ自身遊んでるわけでもない。訳分かんないだろ?」
「え、君それで良いの?何かもう人生諦めちゃってる?」
「そんな事はありませんよ?私は形だけでも結婚して頂ければ何でも良いので」
「あ、分かった!金目当て!」
人に指をさすなよ。光は一瞬眉間に皺を寄せるもすぐにそういえば西門にも同じ事を言われた、と思い出して笑った。変な所で似ているらしい。
「別にそう思って頂いても構いませんけどね?」
嫌味の様に言ってから光は笑みを浮かべる。F4なんてとっつきにくそうだと思っていたけれど、案外普通の人間なんじゃないか。会話が成立する事に驚きだ。必要以上に自分が怖がっていた…いや避けていたが正しいかもしれないな。光は心の中で呟いた。