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「そのサイテー男にしちゃ、超可愛い女連れてると思えば――」

「宮永光でしたー」

朝、光が道場に向かおうとしている途中、一台の高級車が光の横で止まった。ウィンドウが下りて中から顔を出したのは西門。そして中には美作の姿。光は道場へ行くのを止めて、そのまま車に乗り込んだのだ。そして話すのは昨晩の事。

「それから優紀ちゃんは大丈夫だった?あの中塚って男は?」

「中塚って奴は司が締めて落ちた。優紀ちゃんは大丈夫だろうな。吹っ切れたって笑顔で言ってた」

「良かった…それにしても総二郎さんが動いているとは思わなかった」

「あいつはナンパ道に反してんだよ。それに司や牧野もコケにしたわけだろ?ゆるせねーよ」

意外に友達思いなんだね、光は小さく笑った。そのギャップは少しずるいな。

「お前も一人で動いてんなら言えよな。驚いたじゃねぇか」

「総二郎さんも動くと思ってなかったから」

私だって。こっちが情報収集していた所に来るものだからこっちの方がビックリしたってば。

「俺は考え付いた」

「何を?」

「優紀ちゃんに協力してもらうんだよ。牧野は俺が優紀ちゃんにちょっかい出すか心配してんだよ。だから、それをあえて利用して、二人をデートコースまで誘う!そんでいい雰囲気になりゃこっちは姿を消す!な、いいだろ?」

この人は無邪気になるんだよね、こういう事に関しては。さっきから私総二郎さんの事ばかりだ。言う事と考えてる事が全く別だ。

「だから、お前もちゃんと話に乗れよ?」

「了解しました、総二郎さん」

ピシッと敬礼してみれば、お前バカだなぁと軽く小突かれる。それは嬉しく思って光は微笑んだ。

「にしても光の昨日の格好も良かったな」

「大変だった。服揃えてから化粧してもらって、髪も巻いて。つけ睫毛なんか目しょぼしょぼするし、ミニスカートなんか足技出せないし、でも、ヒールのブーツは凶器になるんじゃないかと学びました」

「俺も見たかったー。光ちゃんのそういう姿。新鮮で良さそう」

「じゃあ、今度あきらさんが服買って下さいよ。そしたら着ますよ」

「男に服選ばせるとか、脱がしてくれって言ってるよーなもんだろー」

「だよなー」

二人の発想には着いていけませんよ、そう言えば車内に笑いが起きる。光はふと思う。私はこの関係がいつか崩れると思っていた。だからこそ、大事にしてきた。だけれど、今度は崩れない事を知ったからこそ、もっと大事に出来る、そう思った。



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bkm
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