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「静さん、お久しぶりです」

「光ちゃん、今日はわざわざありがとう」

二人笑顔で挨拶を交わした。頬に軽いキスをし合う。

「光ちゃん、私ね、決めたの」

「決めた?」

静の小声に光も自然と小声になっていた。

「そろそろ革命を起こしちゃおうかな、なんて」

光自身革命とは何なのか詳しい事は知らない。ただ静がこのまま温室に居たくない、その決意だけは聞いた事があった。自分には無いものを持っている静。

「…静さん、格好良いです。応援しています。あなたは私の憧れです」

「勿論、光ちゃんもよね?」

その言葉に光は目を見開いた。何も言えなかったのだ。自分は今ただ流されているだけだと充分に分かっていたせいだ。

「…会えなくて寂しくなるわ」

「たまには会いに来て下さい。色んなお話聞かせて下さい」

私も恥じない道を歩けるだろうか。未来の私が見たら褒めてくれるようなそんな生き方を出来るだろうか。


「なぁ、今静と喋ってる女。超美人、誰だ?」

「どれどれ?」

美作の言葉にその場に居た皆は自然とそちらへ視線を移した。あれ、あいつじゃん。やっぱり和服が似合う。じゃない、婚約者だと言ってしまおうか。空気読めねぇって怒られそうだ、あいつに。

「総二郎?どーした?」

「あぁ、いや。なんつーか、知り合いって言うか」

「何だよ!あんな美人な知り合い居たのかよ!紹介しろよ!」

「…あぁ、今度な」

今近寄ったら面倒くさくなりそうだ。紹介はまたいつかと散々釘を刺された。西門はそちらから目を逸らした。

「わぁ、ホントに美人だ。静さんの隣に居ても引けを取らないね」

つくしは聞こえてきていた西門達の話に自分も静と隣の美人に目を向けた。少し離れているが、美人だと言う事はすぐに分かる。

「ねぇ、つくし。あの人さ、宮永さんに似てるね」

「え?あぁ、確かに似てる」

つくしと優紀が言っているのはバイト先の仲間の光。だけど、お嬢様がバイトなんてしているはずもない。きっとそっくりさんだろう。その話はそれで終わった。


そして静の挨拶が行われる。辺りからはおめでとうの声。静はマイクを持ち、皆に誓うのだ。

「私藤堂静は来月またパリへ帰ります、帰国する予定はございません」

帰る。その言葉は静の決意だった。光は静から目を逸らさずに居た。そして静はこの家も全て捨てて貧しい人を支える弁護士になると言い、長い髪をナイフで切った。もういらないと言う事だ。光はそっと自分の長い髪に触れた。自分も決意の為にこの長い髪を切る日が来るのだろうか、頭の中はそれだけだった。



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