「あ、光。ちょうど良い所に。お前昨日家に携帯忘れてったぞ」
「あ、ごめん。ありがとう」
でもさ、もう放課後なんだけど。どれだけ重役出勤なんだよ。まぁ、私も携帯の存在を忘れていたけれども。素直に受け取ってそれを胸ポケットにしまった。
「…なぁ、お前等さ、互いの家に行き来する仲?」
疑うような美作の視線に困り、光は隣の西門に助けを求めた。なんと言ったら良いのか分からないのだ。
「行き来はしてねぇよ。光が俺ん家来んの。親公認だから何も言われねーし、遊びに行こうと疑われねーし、ちょうどよくこいつに牽制してもらってる」
「…ふーん…」
西門の言葉に美作は未だ疑っています、そんな視線を送った。携帯忘れたって泊まったのか、ただ遊びに来て帰ったのか、それだけでだいぶ事が変わって来るんだが…?
「あれ、よう。牧野じゃん」
「帰んの?」
つくしはバッグを背負っていた。帰宅準備。もうそんな時間か、光は腕時計を確認した。
「う、うん。今日は…三人?」
「類はさっきまでいたけどどっか行っちまった。司は…今日も来なかったな」
「そ、そう。お休み…」
そういうつくしは安堵の息を吐いた。
「つくしちゃあん!どう!?一人暮らしはっ」
一人暮らし?つくしが?事情を知らなかった三人は和也の言葉に首を傾げた。
「何で一人暮らしなの?」
「え、あ、うん。両親が出稼ぎに…」
「「でかせぎ!?」」
それを聞いて反芻した後西門と美作は笑い出した。
「絵に描いたような激貧〜〜っ!」
「うるさい!自分で稼いでもないお前らに笑う資格はない!」
「一人暮らしって大丈夫なの?良かったら家に来ても良いんだよ?」
笑う二人を他所につくしはありがとうと光に言った。あの家を自分で守って行きたいし、家族がいつ帰ってくるかも分からない。それに自分の好きなように出来るから大丈夫、つくしの言葉に光はでも何かあったら言ってね。
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bkm