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「あなたとは行かないわ」

光は淡々と言ってのけた。

「いいだろ、別に。お前一応俺の婚約者だぞ?これから同伴パーティー増えるだろうし、あいつらにも紹介してやろうと思って」

「私あなたの友人に紹介される程あなたと仲良くない」

「確かに」

認めるんだね。うん、私もそう思っていたけれど、素直に頷かれるとどことなくショックを受ける。それでも一緒にパーティーに行きたいとは思わない。

「でもさ、俺お前の事割と気に入ってんだぜ?」

「はぁ?どこが」

悪趣味?何故なら私はこの人に良い顔をしたつもりはないからだ。むしろ悪印象だと思う。それを気に入るなんて余程の悪趣味なのでは?そう思ってしまう。

「そーいうトコ。いいトコのお嬢さんなのに媚びたりしねぇーし、かと言って軽くもねぇし、生真面目でもねぇーし、何か知り合いに似て……そうだ、お前牧野知ってる?牧野つくし」

「…知ってますよ」

そりゃあいつ有名人だからな〜西門は笑いながら言った。それに光は視線を逸らした。バイト先一緒ですけど?何度も喋った事ありますけど?でも、私が英徳に通う事はあちらにはバレていないけれど。

「でさ、話戻して静の事は知ってんだろ?」

「…何度かお会いした事があります」

「何だよ!じゃあ招待状来てんだろーが!」

藤堂静。藤堂商事の一人娘。その美しさからモデルもこなす美人だ。それを鼻にかけずに芯の通った女性だった。父親同士親交があるらしく、何回か会った事があった光。静に憧れる一人でもあった。

「よく考えて。F4と静さんは幼馴染なんでしょう?その中で婚約者紹介ってあなた空気読めてないよ。折角なんだから楽しんでよ」

「……何、お前俺の心配してくれてんだ?」

「言うならば自分の心配。F4に紹介してくれるのは後日で良いよ。パーティーには私個人で出席するから、ね?」

ふーん。西門はその言葉に肩透かしと言うか少しがっかり来たような…少し複雑な気分だった。あいつらに紹介するとなれば女なら飛びついてきそうなネタなのに。静だって有名人だ。顔見知りになっておきたいと思うのが普通だろう。なのに、こいつは…変な奴。今の西門にはその程度。まぁ、半分以上冗談だ。本気でこられても困る。どの程度の人間なのか見定めようとしたが、失敗に終わったようだ。

「…お前って変な奴だな。今まで会った事ないタイプ」

「そりゃお嬢様に囲まれるあなたの生活じゃそう易々とは会わないでしょうね」

「お前もお嬢様だろ?」

「………あぁ、そっか。忘れてた」

はぁ?一体何だ、こいつは。わかんねーけど面白いっちゃ面白い。西門は微笑んだ。

「お前ぜってーあいつらに紹介してやるよ」

「…何急に…。何か怖いんですけど…」

自分のどこにそんな価値があるのだろうか。知っている、どうせこの人もいつか別れを切り出す事を。なんとしても繋ぎとめておかなきゃ…いや、盛大に振ってくれた方が…自分の本心がどこにあるのか分からない。



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bkm
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