「あ、光!おはよう!」
「おはよう、つくし。あ、髪ちゃんと揃えたんだ?可愛いね」
先日の誘拐事件で切られてしまったつくしの髪は綺麗に切り揃えられていた。まさか、これを花沢類がカッターで切ったとは言えずにつくしはあははと苦笑いをした。
「あのさ、それでお願いがあるんだけど」
つくしの言葉に光はパァッと顔を明るくさせた。
「何、何?」
「…道明寺の誕生日パーティー着いて来て!」
その言葉に光は顔を暗くさせた。
「……あぁ、それは叶えてあげられないわ」
「何で!?」
「総二郎さんに誘われてるんだ。交流もあるから行きたいし。でもパートナー同伴必須じゃないから、何も一緒に行く必要は無いんだけど、公表してなくても一応婚約者なので同じ場に行くなら一緒の方が良いって事で。えっと会場に着いたらちゃんと一緒にいれる!」
それじゃああまり意味が無い気がする…。本当に西門さんはろくな事をしない!つくしは心の中で叫んだ。
「そっか…まぁ会場にいるのなら良いか…。でもさ、パーティーなんて参加した事無いし、何着てけば良いのかも、プレゼントも何にすれば良いか分からないし」
「プレゼントはつくしがあげたいもので良いじゃない。誰もつくしに高価な物期待してないでしょ」
うん、それは分かってるけど、はっきり言われるとどことなくショックなんだけど…。この子は案外ざっくり言う事を学んだ。
「何か貸してあげようか。特注だけど、まぁスタイル変わらないから良いんじゃない?」
「変わるでしょーが!」
つくしは大声を出した。光がAカップなわけないし、そのくびれたウエストも、足や手の細さ、何より骨が細い!似ているのは本当に身長だけだ。絶対着れるはずがない。なんとか自分で決めるしかないのか…つくしは家中の服を頭の中で思い返す。
「……で、でか…」
「うわぁ、すごいねぇ」
つくしと優紀は門扉を見上げながら呟いた。約束通りつくし達は光の家に招待されていたが、想像よりも規模の大きい家に驚きを隠せない。
「あれ、光。どこ行くの?家はあっちじゃ…」
あそこに立派な建物があるじゃない。が、光が向かうのは別の方向だった。
「あれは本邸だよ。主に来客用とか。私が住んでるのはあっち。別邸なの」
まだ先があるの!?この純和風の建物はどこまで続くのか…庭師が手入れしている庭園を通り過ぎて、藤棚も見た、手入れされている池に枯山水。別邸とは流石に本邸とは違いモダンな豪邸だった。