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「うーっす、元気かよ」

「お見舞い来ました〜」

「楽勝楽勝!」

道明寺の病室に遠慮無く入っていく4人。光は早速花瓶に持ってきた花を生けてくると外へ出て行った。その帰りに検査帰りのつくしと合流した。

「皆集まってるよ、つくしも行こう」

「うん。それにしても光、目腫れてないね…ちょっと残念。その美人がどう崩れるのか…」

「昨日ずっと目、冷やしてたからね。ぬかりないよ。あ、腫れなかったから一回叩いておく?」

「あはは、光強いからやめとく。罰として退院したらあたしと出かけてよ。光の家も見てみたいし」

「……よし、来た。全力でおもてなししてあげる」

二人の女子は笑いながら道明寺の病室へと入った。

「おっ、牧野ちょっと来いっ」

西門が取り出したパラロイドにはぼこぼこの坊主頭の4人。その後ろにはバリカンを持つ類の姿。それを見てつくしは噴き出した。

「なにこれ〜っ!すごすぎる!」

「だろ!?こんな奴ら10分だぜ10分!」

どうやらつくしと道明寺をボロボロにした順平の仲間達へ西門達が仕返した後の写真らしい。そのまま見ても笑いがこみ上げてくる。

「しまいにゃ助けてくれって泣き出す始末だぜ?」

「弱いなんてもんじゃねーよ、激弱!司、おまえマジでこいつらにやられたんか?」

「しかしケンカ無敗の司がな…」

「女のためにやられてやるなんて――」

「「愛だよなぁ」」

二人の言葉がはもった。その語尾には俺たちにゃよく分からんが。と付け加えて。それに何故か焦るのはつくし。つくしは慌てて話題を逸らそうとする。

「あっ、あたし今日退院すんのっ。精密検査の結果異常ないって――」

「牧野。司はいいぞー金持ってるし資産数千億だぜ」

「たぶん俺達の中でも一番つえーし」

「浮気は…たぶんしねーし」

何を思ったのか道明寺をごり押しし始めるF4メンバー達。それに類までも参加するから驚きだ。

「そうそう。おまえが困った時には何だかんだ言って必ず助けにいくし」

追い詰められるようにつくしは壁に背をつけた。一方光はその状況を見て微笑んでいるだけだった。

「おまえのような無料の女にとって千載一遇のチャンスだぜ!?」

「世の中の女が乗りたくても乗れねえ玉の輿上級クラスがそこにあるんだぞっ!まぁ、ちょっとバカなのが玉にキズだけどよ」

「いーかげんにくっついちまえよっ」

イラつくんだよっ。みてっと。それが本音なんじゃないかと思うのは私だけ?それでも光は何も言わずにそれを見ているのだ。

「で…でも、あたしそんなにお金好きじゃないし、玉の輿なんて」

「かー!甘っちょろい!世の中金!カネ!おまえんちの生活考えろっ!」

「そ…そんなにケンカ強くなくてもあたし強いし…」

「ばーか!男5人であのありさまだろっ!それに本当に強いってのは光みてーなの!百人斬りしてから言え!」

いやいや、百人は斬ってませんから。突然自分の名前が出た光は突っ込んだ後、自分も巻き込まれたと吹き出して笑った。

「そっそれにっ、…それに道明寺ってな、なんか犬みたいで」

それだけ言うとつくしは病室から走って逃げてしまった。病室には微妙な雰囲気の後すぐに類は笑い出し、美作はフォロー。呆然とする道明寺に西門は突っ込む。そして光は笑顔で立ち上がる。

「じゃあ、私の役目はつくしの相手だ」

そう言うと光は笑顔で病室から出て行った。



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bkm
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