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つくしはなんとか光と話をしたいと思った。だが、光と会えなかったのだ。学園には来ていないのかもしれない、ならバイトで会うかも、光は一週間程休みを取っていると言われた。なら、家まで…。つくしは光の家を知らなかったのだ。いつか泊まりに来てと言っていたのにそれは実現しなかった。そうだ、優紀も交えてのお茶も結局果たされないままだった。光はいつも声をかけてくれるのに、こっちが線を引いてしまっていたのだ。なら、婚約者の西門に聞けば、そう思ったが西門も道明寺も誰も学園には来ていなかったのだ。

「牧野っ!」

「あ…美作さん。西門さん」

久々に見た二人の姿。そんな彼らは忙しそうだった。

「おまえ司見てないか?」

見ていない、つくしは顔を赤くして呟くような小さい声で言った。つくしは道明寺に告白されていたのだ。

「おかしいな、あいつ。消えちまったんだよ」

「家に電話してもいねーし。別荘にでも行ったのかな…。お前なにか聞いてねーか?」

聞いているはずがなかった。

「…おまえトレジャーズでモデルやったろ。あのジュンって奴うちの生徒だったらしいじゃん。気をつけな、司が黙ってるはずねーからよ」

「ど…どういう意味!?気をつけなって――」

「知らねぇよ。だから俺達も探してんだろ。あいつは人間凶器だからな。どんな行動に出るか幼馴染の俺達にもわからねえから」

もう、何だって言うんだ。落ちてきた鉢植えも道明寺があたしを狙って?つくしの頭の中には嫌な予感が巡る。

「に、西門さん!光、光がどこに居るのか知らない!?」

「はぁ?光?…いや、あいつは2、3日見てねぇよ。こっちも司探すのに必死だったし」

「最後、最後に会った光何か言ってた!?」

「…あいつに殴られっかもしんねーけど言っとく。…光な、牧野の事気にしてたぞ。今回の事だけじゃねぇ。あいついっつもお前の心配してる」

それを聞いてつくしは涙が出そうになった。今度会ったら謝ろう。それとも会ってもくれないだろうか。もう見限ってしまっただろうか。光と別れてから5日後、つくしは自分のロッカーに以前見た赤札が貼られているのを発見した。そしてまた地獄の日々。道明寺の事でも色々悩む所がある。本当に道明寺が赤札を貼ったのか。そしてあの告白は。順平の事も、光の事も、赤札も。小さな体が押し潰されそうになった。久々の赤札に興奮してる生徒も。そして自分が順平に騙されているなんて疑いもしなかった。



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