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そして始まるのはつくしを騙した奴らの処分。涙を流しながら懇願するもそう簡単には許せない。

「冬眠中のクマのエサにするか」

冷凍保存しておきますか、道明寺の言葉に光は小さく呟いた。

「ねえねえ皆さん。桜子いい事考えちゃった。このまま日本に帰らせるのも生ぬるいし、いっそ同じよーな事体験してもらうっていうのもいい手じゃない?この三人を零下15度の中にロープで吊るしてツララにするっていうのはどうかしらあ」

それに同意するのは道明寺だけだった。

「もーいいよ。結果的になんもなかったわけだし」

何かしら仕返しをすると思いきやつくしは何もしないと言ったのだ。つくしが言うのなら…その場はこれで収まったが光は拳を握る。つくしは優しすぎる。それはバカを見ているような気がした。

「はい、とりあえず解散。光はこっち」

「えぇ!?な、何ですか、急に!?」

西門は光を軽々と抱え上げ自分の肩に乗せた。暴れようともがく光は皆に助けを求める。

「だ、誰か助けて!何かこの人意味分かんない!」

意味分からないのは分かるが誰も光を助ける事はなかった。そして西門は光を抱えたまま自室へ入り、肩の荷物をベッドの上に放り投げた。

「うわっ!危ないな!」

抗議しようと起き上がった光の額を西門は指で小突いた。

「危ないのはお前だ、バカ。瞳孔開いてんぞ。臨戦態勢だったじゃねぇか」

確かに西門の言う通り光はいつでも殴る準備はしていた。つくしがやらないと言うのなら尚更。女を殴るのはポリシーに反するという男がいるのなら殴れるのは私しかいない。そう思う。

「牧野は何もしねぇって言ってんだ。なのにお前が仕返しすんのってどーよ?牧野の事裏切ってんじゃねぇの?」

「…だって、私は悔しい…!つくしはいいって言うけれど、お人好し過ぎるじゃん!今回はたまたま助かったけれど、本当に死ぬかと思って…!どうして仕返ししちゃダメなの…」

涙を堪えるように光は唇を噛み締めた。

「確かにあいつはドがつくほどお人好しでバカだよ。けどな、さっきも言ったけど光があいつら殴って喜ぶ牧野が想像出来るか?」

それは出来ない。どう考えてもつくしは喜ばない。光は首を横に振った。

「だろ?だからお前があいつら殴んのはお門違い」

「お人好しがバカみるって言うなら…私は少しでもその人達がバカを見ない世界を作りたいよ…つくしの為なら私は責められても良いと思ってるよ…」

じゃないとつくしが報われないじゃない。光のきつく握った拳を西門は優しく解いた。

「前にも言ったろ?お前の手は人を殴る手じゃなくて、華を生ける手だ」

そういうと西門は立ち上がり内線を取り、どこかへ繋げた。

「…そう。殴りたくて仕方ないらしい。なんか言ってやれ」

ほらよ、と投げられた子機に光はそっと耳をつけた。

《光?優紀と西門さんに聞いたよ。仕返そうとしてくれたんだって?あたしはその気持ちだけでじゅーぶん!むしろ、光がね誰かを殴らなくて良かったと思ってる。折角綺麗な顔や手してるんだから、大事にしててよ。あいつら殴って怪我するなんて勿体無い!もう無茶しなくて良いんだよ。…でもさ、ホントに嬉しかった。ありがとね。…後さ、お願いがあるんだ》

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bkm
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