やわな鍛え方はしていないつもりだったが、光はスノーボード一日で体の節々が軽く痛くなっていた。部屋のお風呂にゆっくり浸かった後、お腹が空いたからと肩を回しながらリビングへと向かっていた。
「宮永!」
「はい?」
あまり聞き慣れない声。珍しい声から呼び止められ、光は振り返った。そこに居たのは焦る花沢類の姿。
「あのさ、牧野の友達の…」
名前を知らないのか?光は優紀ちゃんがどうしたのかと首を傾げた。
「どこにいるのか知らない?」
「いや、知らないですけど、何かあったんですか?」
「牧野がその子探して外出て行った」
外って…窓の外を見ると吹雪でとてもナイター出来る状況ではない事を瞬時に判断した。
「…何で外へ…いや、今はそれよりも優紀ちゃんとつくしを探しましょう」
光と類は走り出した。そしてすぐに優紀の姿を見つける。リビングで西門と話をしていたのだ。
「なんだよ、類。光も。血相変えて」
「……総二郎さん、人呼んで下さい、早く!」
類と光のただならぬ雰囲気に西門は急いで人を呼びに出て行った。
「…ねぇ、花沢さん。つくしは優紀ちゃんを探して外へ出て行ったんですよね…」
類はコクリと小さく頷いた。
「…優紀ちゃん、どこに居たの?」
「え?さっきまで地下の温泉に…」
この状況を理解出来ていない優紀。光もそこまで理解出来ていない。F4が集まり、類の言葉を聞いて道明寺は真っ先に出て行った。つくしは英徳の女子に優紀が外に出て行ったと騙されて、探しに行ったのだと。優紀は自分のせいでつくしが…?涙を零した。光は拳をきつく握った。
「ほ…本当にナイター行ったと思ったんです」
騙した奴等に類は水をかけた。涙を流しながら謝るもそれは本心なのかも怪しい所だった。
「嘘つけ。零下15度だぞ。もう出てって1時間になる。この辺はこの別荘しかない。もし道に迷ってたら――あいつ死ぬぞ」
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bkm