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道明寺家の別荘に着けば道明寺は既にそこに居た。幼馴染達の言う事はやはり正しかったのだ。そしてつくしと言い争いも子供のけんかの様にそっぽを向いてその場は終わった。

「おい、光。お前難しい顔してんぞ。お前がスキー行きたいって言ったんだろ?楽しめよ。息抜きも兼ねてんだからよ」

「………」

私の息抜き?確かに行きたいとは言ったけれど、まさかそんな意図がちゃんと込められているとは思っていなかった。

「おーい、光〜?」

返事の無い光に西門は首を傾げた。こいつたまに思考停止する時あるからな。西門にとってはその程度だ。

「…総二郎さんてたまに優しいよねぇ」

「惚れた?」

「惚れない。私は安い女じゃないんだよ」

「そこまで落ちない女も珍しいよ、マジで」

総二郎さんはそうやって遊んでれば良いよ。光は自分の部屋に荷物を置きに行った。二人部屋が基本の中、光はあえてつくしと優紀の隣の部屋に決めたのだ。つくしと優紀以外と同室になっても楽しい事はまずないし、相手も怖がってしまうだろう。

「宮永さん!」

荷物を置きすぐに部屋を一歩出れば待ち構えていた女性達に光は囲まれた。そもそもどうしてここにいるのかすら謎だと言うのに囲まれる理由も分からない。が、それで怯む光じゃない。囲まれるよりも無視される方が辛い。それを知っていればこの状況を辛いとはとても思えない。

「あなた…最近F4の皆様と仲が良いみたいだけど…どうせ牧野つくし使って近付いただけでしょうが!」

光はその言葉に大きな溜め息を吐いた。どこに行っても結局それか。

「だから何?羨ましいの?なら、あなた達もつくしと友達になれば?」

「…言ったわね!牧野つくしに言ってやるわよ!」

「ご自由にどうぞ。それくらいで崩れる程浅い友情関係だと思ってないから」

「…宮永さんはどうして牧野つくしなんかと一緒にいるの?おかしいじゃない。あなたみたいな人があんなビンボー人と」

何が言いたいんだか。友達すら自由に選ばせてくれないだろうか。こんな話を聞いているのはとても疲れる。そろそろ耐えられなくなっちゃうよ?光は心の中で呟いた。

「似合わないわよ」

「人の交友関係気にする前に自分達の交友関係気にしなよ。皆隙あらば裏切ってやろう、それまではF4に憧れる同志として固まっていようって魂胆が丸見えだよ?明日には誰か裏切ってるかもねぇ」

光はくつくつと笑いを零した。そして笑いが落ち着いた後キッと睨みつけるように顔を上げた。

「…つくし達に何かしたら、女だろうが許さない。醜い顔を更に歪ませてやる。私が男子百人斬りしたって噂知らないわけじゃないでしょ?」

それだけ言うと光は自然と開いた道を颯爽と歩いて行った。これだけ言っておけば大丈夫だろう、光はそう思ったがそれは甘かったのだと気付くのは事が起きてから。

「そそ。要は体重移動でコントロールすんの。お前やってみ?」

初体験のスノーボードの使い方を西門に習っていた。止まる時は横向きで…。それを教わり考える。止まり方を知ってれば大丈夫じゃない?光は動き出した。

「私、結構出来るかも」

「ヒュー。さっすが。運動神経抜群だなー」

そう言う西門の声は遠くなって行った。



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